武田信春

武田信春の生涯と業績

武田信春（たけだ のぶはる）は、南北朝時代から室町時代初期に活躍した武将です。甲斐源氏第12代当主であり、武田家の9代目の当主でもあります。信春は、武田信成の子であり、官途名として兵庫助、修理亮、伊豆守などを称していました。

家族・系譜について

信春の兄弟には、基信、武春、布施満春、栗原武続が存在し、子どもたちには信満や穴山満春（武田信元）、下条信継、市部信久、吉田成春などがいます。信春の家族についての詳細は、武田家系図や『円光院武田家系図』に見つけることができます。

知られざる歴史の一端

信春の祖父、信武は安芸国守護を務め、北朝の足利尊氏に仕えていました。彼の任期中、信春は父の信成と共に北朝側で戦ったとされています。文和4年（1355年）には柏尾山に陣取り、甲斐の南朝勢力を撃退しました。

延文4年（1359年）の7月13日、あるいは康安2年（1362年）の7月晦日には信武が亡くなり、彼の後を受けて信春は甲斐守護職を継ぐことになったとの記録がありますが、その背景には様々な説があります。

異なる視点と新説

西川広平によると、信春は信成を経ずに信武の死後、直接甲斐守護職に就いたとする新しい見解も存在します。この説によれば、信武が名乗っていた官途名が信春に受け継がれ、祖父から直接家督を継いだ可能性が指摘されているのです。また、信春は文和4年（1355年）に足利尊氏の側近として活躍し、鎌倉府の独立行動を抑制する役割を果たすことが期待されていたとされています。

武田家の驚異の展開

南北朝時代以降、武田家は甲斐守護として甲府盆地東部に守護所を設け、信春もその中核として青梅往還沿いに館を築きました。信春は貞治4年（1365年）に菱山を大善寺に寄進するなど、多くの寺領を寄進することでも知られています。これらの資産は、武田家の地位を確立するための重要な要素です。

信春の最期と影響

応永20年（1413年）、信春の館が乱により陥落し、彼は萩原山へ逃れた後、柳沢に砦を築きました。西胤俊承の著書によると、彼は同年10月23日にそこで亡くなり、その後は子の信満が家督を継承したと伝えられています。信春の菩提寺である慈徳院は、甲州市塩山茅野に位置し、境内には信春の館跡があります。

参考文献

• - 渡邉正男「南北朝の内乱と武田守護家の確立」『山梨県史 通史編2 中世』山梨県、2007年
• - 西川広平「南北朝期 判官・甲斐武田家の成立過程について」（初出:中央大学文学部『紀要』史学65（2020年））

このように、武田信春の人生は、彼の家族やその歴史的重要性を考察する上でも非常に重要な一章と言えるでしょう。

もう一度検索