武田花

武田花（たけだ はな）

日本の写真家、エッセイストとして知られる武田花は、1951年10月31日に東京都で生まれ、2024年4月30日に72歳でその生涯を閉じました。彼女の作品は、主に猫と時代に取り残されたような町並みを捉えたモノクロ写真で、多くの人々の心を魅了しました。

生い立ちと写真との出会い

武田花は、作家である武田泰淳と随筆家の武田百合子という文筆家の両親のもとに生まれました。立教女学院の寄宿舎で過ごした中学・高校時代を経て、高校卒業後に父親からカメラ（ペンタックスSV）をプレゼントされたことがきっかけで写真の世界に足を踏み入れます。写真学校はすぐに退学しましたが、その後東洋大学に進学し、アルバイトをしながら野良猫の写真を撮り続けました。

写真家としてのキャリア

大学卒業後、様々なアルバイトを経験しながら、武田花は写真家としての道を歩み始めます。1980年に初の写真集『猫町横丁』を刊行し、1986年には初の写真展「猫のいた場所」を開催。翌1987年に刊行した写真集『猫・陽あたる場所』で広く知られるようになりました。1990年には、『眠そうな町』で第15回木村伊兵衛賞を受賞し、その才能は高く評価されました。また、写真だけでなく、フォトエッセイも多数刊行し、文章を通しても自身の世界観を表現しました。

武田山荘と資料の寄贈

武田花の母である武田百合子の作品『富士日記』の舞台となった富士山麓の別荘「武田山荘」を譲り受け、山荘の一部を暗室として利用していましたが、2006年に老朽化のため取り壊しました。母の遺言に従い、母の残した資料は処分しましたが、父の残した大量の資料は日本近代文学館に寄贈。その中には、父が中国に従軍した際の日記も含まれており、泰淳が殺人行為を犯したことも記されていました。

主な著書

写真集

『猫町横丁 駄猫・雑猫グラフィティー』（1980年）
『猫のいた場所』（1982年）
『猫・陽あたる場所』（1987年）
『眠そうな町』（1990年）
『猫 TOKYO WILD CATS』（1996年）
『SEASIDE BOUND』（2001年）
『猫・大通り』（2007年）

フォトエッセイ

『煙突やニワトリ』（1992年）
『カラスも猫も』（1995年）
『嬉しい街かど』（1997年）
『One day そして、陽は落ちる』（1997年）
『季節にしっぽ』（1998年）
『仏壇におはぎ』（2004年）
『イカ干しは日向の匂い』（2008年）
『写文集 猫と花』（2009年）
『犬の足あと猫のひげ』（2010年）
『猫光線』（2016年）
『猫のお化けは怖くない』（2016年）
* 『ポップス大作戦』（2020年）

武田花は、甲状腺疾患のため2024年4月30日に亡くなりましたが、彼女の作品は今もなお多くの人々に愛され、その独特な視点と温かい眼差しは、私たちに大切な何かを教えてくれます。

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