武相卯歳観音霊場

武相卯歳観音霊場（ぶそううどしかんのんれいじょう）

武相卯歳観音霊場は、武州と相州（現在の東京都多摩地域と神奈川県）の48の寺院を巡る霊場であり、特に卯年に開扉されることが特徴として挙げられます。この観音霊場は、地域の信仰の場として多くの人々に親しまれてきました。

歴史的背景

最初の開扉は1759年（宝暦9年）に行われ、初めは33の寺院が札所として選ばれていました。その後、次第に札所は増え続け、記録としても1771年（明和8年）の「武相三十三所惣開帳」や1783年（天明3年）の「武相観音開帳」、1807年（文化4年）の「武相三拾三所惣開帳」などが残されています。これらの文献からは、江戸時代以来、卯年に開扉が続いていたことが明らかです。

36番札所の圓通庵には、「天保十四癸卯年」の記載がある石碑が存在し、この時期には札所数が33を超えていたことが示されています。39番札所として知られる宗保院は、1867年（慶応3年）の第10回開扉に新たに加わりました。

戦後、武相観世音札所連合会が設立され、以降の開扉ごとに新しい札所が増加するようになりました。1975年（昭和50年）の第19回開扉の際には、札所の数は49に達しました。そして1987年（昭和62年）には50ヶ寺に達したことが記録されています。

1999年（平成11年）の第21回開扉では、再び48ヶ寺となり、札所連合会は3日間にわたってバスによる巡礼を実施しました。この際には、約1500人が参加し、多くの信者が霊場を訪れました。札所の番号も変更され、1963年（昭和38年）の時点で泉龍寺と高乗寺がそれぞれ49番および50番札所から、17番と18番へと改められました。最新の開扉は2023年（令和5年）の4月に実施され、48ヶ寺にて行われる予定です。

札所の一覧

これまでに多くの札所が存在しましたが、1987年の第20回開扉までは、八王子市の直入院が17番および18番の札所として数えられていました。この直入院は蓮生院と帰西庵が統合されたものであり、特に蓮生院にある千手観音が18番札所とされていました。

この武相卯歳観音霊場は、地域に根付いた信仰の対象として長年にわたり多くの人々に愛され続けています。この霊場を巡ることにより、訪れる人々は心の平安を求めて、また新たな信仰の旅に出かけるのです。今後もこの霊場は、多くの信者にとって特別な存在であり続けることでしょう。

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