武良布枝

武良 布枝（むら ぬのえ）について

生い立ち

武良布枝は、1932年1月6日に島根県能義郡大塚村（現在の安来市）に誕生しました。彼女は商家である飯塚家の三女で、家業は主に煙草製造や呉服屋を営んでいましたが、父の藤兵衛が呉服の仕入れをやめたため、布枝が生まれた頃には家計は困窮していました。父は戦後に酒の小売の免許を取得し、酒屋を始めることで家計の安定を図ります。さらに、藤兵衛は村議会議員としても活動し、地域社会に貢献していました。

結婚生活

布枝は安来高等女学校を卒業後、家に残り祖母の手伝いをしていました。その後、二人の姉が次々と嫁いでいく中、1961年に漫画家の水木しげる（本名：武良茂）との見合いが決まりました。水木の多忙さから見合いから結婚式までの期間は非常に短く、スピード婚となりました。結婚式は米子の後藤家で挙げられました。

結婚後、布枝は水木との生活を始めたものの、貧困に悩まされました。漫画家としての水木は、当時経済状況が厳しく、質屋に通う日々が続いていました。それでも、布枝は水木の創作活動に理解を示し、彼のために支えとなることを誓いました。長女が誕生した際には、布枝が持参した着物まで質屋に出されるという困難を乗り越えながらも、彼女は次第に水木に対して敬意を抱くようになりました。

生活が改善されていく中で、水木も名声を得るようになりましたが、漫画の依頼が増えることで彼の多忙は増し、家族との時間が減少しました。布枝はこの時期の水木の忙しさに心を痛めながらも、彼の創作活動を応援し続けました。

自伝とその影響

2008年に布枝は自伝『ゲゲゲの女房』を出版しました。この著作は彼女の人生の詳細を描写したもので、直後にテレビドラマ化されました。このドラマは日本の視聴者に感銘を与え、さらに映画化も行われ、多くの人々に愛される作品となりました。布枝をモデルとした女性は、テレビドラマでは松下奈緒、映画では吹石一恵、舞台では水野美紀が演じています。

2010年には、『ゲゲゲの〜』というフレーズが話題となり、新語・流行語大賞に選ばれるなど、布枝の影響力が社会に広く知られることとなりました。また、安来市には夫婦のブロンズ像や、布枝の実家の前には記念碑も建てられました。

テレビ出演と家族

布枝は2010年にいくつかのテレビ番組に生出演し、その個性的なキャラクターは多くの視聴者に親しまれました。特に、NHKの紅白歌合戦ではゲスト審査員として出演し、話題になりました。

家族としては、夫の水木しげるの他、二人の娘もいます。長女の尚子は水木プロの社長を務め、次女の悦子はプロ社員として活動しています。彼女たちも作品に貢献しており、布枝の影響を受けた著書を出すなどして活躍しています。

武良布枝の人生は、彼女自身の努力や支えによって築き上げられ、多くの人々に感動と勇気を与えています。また、彼女の物語は日本の文化と深く結びついており、その存在はこれからも語り継がれることでしょう。

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