武蔵野公園低湿地遺跡

武蔵野公園低湿地遺跡について

武蔵野公園低湿地遺跡は、東京都小金井市東町五丁目に位置する、後期旧石器時代から縄文時代、古墳時代、中世にかけての複合[[遺跡]]です。この遺跡は、野川のほとりに広がる低湿地にあり、その立地条件から、古代の人々の生活や活動の痕跡が豊富に残されています。遺跡は、野川調節池の建設に伴う発掘調査によって発見され、多岐にわたる時代の遺構や遺物が出土しました。

遺跡の地理的特徴

遺跡は、武蔵野台地の南端、国分寺崖線の南側に位置しています。立川面と呼ばれる場所にあり、野川の左岸、崖線に挟まれた狭い平坦地に立地しています。かつての野川は蛇行していましたが、現在は河川改修により直線化されています。遺跡のある場所は、現在は都立武蔵野公園の一角となっており、近隣には湧水も見られます。この豊かな水環境が、人々の生活を支えていたと考えられます。

調査の歴史

1970年代後半に野川調節池の建設が計画された際、1981年に試掘調査が行われ、土器片などが発見されたことがきっかけで、遺跡の存在が確認されました。1983年には工事中に土器や木片が出土したため、本格的な発掘調査が行われました。調査は、遺跡の北西端にあたるA区を中心に、下流側のB区、崖線下のC、D区に分けて実施されました。特にA区からは、縄文時代の土器や水場関連の遺構、自然遺物が多く出土しました。

主な遺構と出土品

遺跡からは、水利遺構、溝、土坑、ピットなどの遺構が検出されています。主な出土品としては、ナイフ形石器、スクレイパー、石鏃、打製石斧、磨製石斧、石皿などの石器、勝坂式や堀之内式の縄文土器、漆塗櫛、木胎漆器、土師器、陶磁器などがあります。特に、中世の陶磁器には、青磁、常滑焼、渥美焼、山茶碗、擂鉢などが含まれています。

時代ごとの特徴

後期旧石器時代: 遺物包含層は確認されていませんが、石器が出土しています。これらはローム層から流出したものと考えられています。
縄文時代: 遺構は検出されていませんが、A区、C区、D区で遺物がまとまって出土しています。中期から後期の土器が中心で、特に後期堀之内式の土器が多く見られます。C区からは、木材や種子などの有機質遺物も出土しており、水晒し場の可能性が指摘されています。
古墳時代: A区で水利遺構が検出されています。この遺構は、低位段丘面のローム層を掘削し、版築状の土留めを施したもので、船着き場だった可能性が考えられています。前期の土師器も出土しています。
中世: A区で溝が検出され、板碑片や陶器片、石塔の破片、銭貨などが出土しています。この溝は、野川への排水施設と考えられています。

近隣の遺跡との関連

遺跡の周辺には、野川中洲北遺跡、府中市武蔵野公園遺跡、小金井市七軒家遺跡、調布市野川遺跡などの遺跡が点在しており、これらは野川流域遺跡群を構成しています。これらの遺跡群は、それぞれの時代において、人々の生活や文化を理解する上で重要な資料となっています。

まとめ

武蔵野公園低湿地遺跡は、旧石器時代から中世にかけての長い歴史を持つ複合[[遺跡]]であり、各時代の遺構や遺物が良好な状態で残されています。この遺跡は、野川の豊かな水環境と人々の活動が密接に関わっていたことを示しており、古代の生活様式や文化を知る上で非常に重要な場所であると言えるでしょう。

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