武蔵野鉄道1形蒸気機関車

武蔵野鉄道1形蒸気機関車

武蔵野鉄道1形蒸気機関車（むさしのてつどう1がたじょうききかんしゃ）は、武蔵野鉄道、現在の西武鉄道に属していたタンク式の蒸気機関車であり、その運行は1914年から始まりました。この機関車は、当時の横浜のヘンシェル・ウント・ゾーン社で製造されたもので、最初の5両が日本に輸入されました（製造番号12527 - 12531、すなわち1 - 5号機）。

機関車の特徴

武蔵野鉄道1形蒸気機関車は、0-6-0の車軸配置を持ち、タイプとしてはウェル・サイドタンク式のデザインが特徴的です。これらの機関車は、1913年に行われた大正博覧会で発表された際に、その独特なスタイルに魅了された日本の鉄道関係者によって購入が決定されたと言われています。

各機関車の仕様にはわずかな違いがあり、特にシリンダーの直径やサイドタンクの長さ、ボイラーの直径が異なります。また、同時期に製造された小倉鉄道の機関車とは同じくタンク式ながら、サイズや動輪の間隔に若干の差があります。具体的には、武蔵野鉄道の機関車は、動輪の間隔が1,500mmと1,200mmの組み合わせであるのに対し、小倉鉄道では1,400mmの均等間隔が採用されています。

廃車とその後

武蔵野鉄道の1号から4号機は、1937年に廃車となり、同年の3月には飯能で解体されました。5号機に関しては、その後東信電気の鹿瀬発電所建設用に売却され、昭和肥料、昭和電工と所有者が変わったものの、鹿瀬には留まり続け、1960年まで活躍を続けました。

性能とスペック

1形蒸気機関車の性能の概要は以下の通りです：

• - 全長: 7,888mm
• - 全高: 3,480mm
• - 全幅: 2,400mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 0-6-0 (C)
• - 動輪直径: 1,000mm

シリンダーの仕様：

• - 1 - 3号: 300mm×500mm
• - 4, 5号: 310mm×500mm

ボイラー圧力: 12kg/cm²
火格子面積: 0.69m²（1 - 3号）、0.80m²（4, 5号）
全伝熱面積: 38.9m²（1 - 3号）、43.5m²（4, 5号）
煙管伝熱面積: 35.7m²（1 - 3号）、39.9m²（4, 5号）
火室伝熱面積: 3.2m²（1 - 3号）、3.6m²（4, 5号）
煙管外径と長さ: 42mm×2,800mm（1 - 3号は96本、4, 5号は108本）

運転整備重量: 21.6t（1 - 3号）、23.2t（4, 5号）
空車重量: 17.2t（1 - 3号）、17.9t（4、5号）
水タンク容量: 2.5m³（1 - 3号）、3.0m³（4, 5号）
燃料積載量: 1.0t
シリンダ引張力（0.85P）: 4,590kg（1 - 3号）、4,900kg（4, 5号）

参考文献

• - 田中秀夫・中川浩一「西武鉄道の蒸気機関車」『鉄道ピクトリアル』1970年2月号
• - 臼井茂信「機関車の系譜図」交友社刊 1973年
• - ヘンシェル-ミュージアム所蔵竣工写真及びE1形組立図

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