武藤正敏

武藤正敏

武藤正敏（むとう まさとし、1948年12月18日 - ）は、日本の元外交官、評論家。元在大韓民国特命全権大使であり、三菱重工業の元顧問を務めました。

人物

東京都出身。横浜国立大学を卒業後、外務省に入省。延世大学校で朝鮮語研修を受け、ハーバード大学大学院で修士号を取得。キャリア官僚として朝鮮語を専攻した「コリア・スクール」出身者として初めて韓国大使に任命されました。韓国勤務は語学研修を含め5度に及び、外務省北東アジア課長も務めるなど、朝鮮半島情勢に精通しています。

戦後生まれの駐韓大使としては初めて朝鮮語に堪能であり、その経歴は従来の自民党政権下の人事とは異なり、民主党菅内閣による異例の抜擢と評されました。

キャリア

武藤氏は、1972年に外務省に入省後、一貫して朝鮮半島関連の業務に携わりました。在韓日本大使館での勤務、外務本省での北東アジア課長などを経て、2010年に駐韓大使に就任。大使在任中には、李明博大統領による竹島上陸事件が発生し、日韓関係は急速に悪化。一時帰国を余儀なくされました。

2012年には、韓国政府との連絡が円滑に進まない状況や、外務大臣のリーダーシップ不足が問題視され、丹羽宇一郎駐中国大使と共に退任しました。

退任後も、評論家として日韓関係や北朝鮮問題について積極的に発言。2015年のインタビューでは、大使在任中の日韓関係悪化について「日韓新時代を築こうと思って着任したのに、日韓関係を悪化させたまま帰国することになり、じくじたる思いがあった」と述懐しています。また、「今まで通りでは日韓関係は良くならない。ルールを変えて韓国の反日はもうやめてもらわないといけない」と主張しました。

2018年には、韓国の反日感情について、中国の反日とは異なり、国益を毀損してでも感情を優先する傾向があると指摘。2021年には、文在寅政権下での日韓関係の悪化に懸念を示し、アメリカが韓国を見放す場合、日本の安全保障にとっても大きな危険が迫ることを警告しました。

著書・論文

武藤氏は、日韓関係に関する著書を多数執筆しています。

『日韓対立の真相』(2015)
『日本大使が徹底分析 韓国の大誤算』(2016)
『韓国人に生まれなくてよかった』(2017)
『文在寅という災厄』(2019)
『文在寅の謀略：すべて見抜いた！』(2020)
『さまよえる韓国人』(2021)

これらの著書では、日韓関係の現状や問題点について、外交官としての経験を踏まえた上で、独自の視点から分析しています。また、雑誌や論文等への寄稿も多数あります。

受章・栄典

2013年、韓国政府から修好勲章光化章を授与されました。同年秋の叙勲では瑞宝重光章を受章しています。

武藤正敏は、日韓関係の専門家として、その発言や著作を通じて、日本の外交政策に大きな影響を与え続けています。

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