武藤虎太

武藤虎太（むとう とらた）は、1867年8月6日に肥後国菊池郡戸崎村（現在の熊本県菊池市）で、熊本藩士である武藤一忠の長男として誕生しました。日本の教育者として、明治から昭和初期にかけてその名を広く知られています。

1895年（明治28年）に東京帝国大学文科大学国史科を卒業後、教育の道に進みました。第五高等学校（現在の熊本大学）教授を皮切りに、第二高等学校（現在の東北大学）教授、そして同校の校長を歴任しました。これらの高等学校で、多くの学生を教育し、その後の日本を支える人材育成に大きく貢献しました。

1920年（大正9年）からは2年間、欧米を視察しました。この経験は、彼の教育観に大きな影響を与えたと考えられます。帰国後の1921年（大正10年）には、第四高等学校（現在の金沢大学）の校長に就任し、その後再び第五高等学校の校長に転任しました。教育者としての豊富な経験と深い知識をもって、各学校の発展に尽力しました。

退官後は、第五高等学校名誉教授の称号を受け、後進の育成に情熱を注ぎました。また、教育活動以外にも、維新史料編纂会委員を務めるなど、歴史研究にも貢献しました。

著書として、『東洋史提綱』（英華堂、1901年）があります。この著作は、当時の東洋史研究における重要な文献の一つであり、武藤の学識の深さを示すものです。

武藤虎太は、1934年3月29日に生涯を閉じました。彼の教育者としての功績は、今日においても高く評価されており、日本の教育史において重要な人物として記憶されています。彼の教えを受けた多くの学生たちが、社会の各方面で活躍し、日本の発展に貢献しました。武藤虎太の生涯は、教育者としての模範を示すだけでなく、知識人としての生き方を示すものでもあります。

参考文献

帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第3版』帝国秘密探偵社、1930年。
人事興信所編『人事興信録 第10版（下）』人事興信所、1934年。

もう一度検索