武衛娘

武衛娘（ぶえいのむすめ）は、生没年不詳の女性で、室町幕府11代将軍・足利義澄の継室として知られています。彼女の出自や名前については、確かな記録が残っておらず、不明な点が多いのが現状です。

出自について

武衛娘の父親については、斯波義寛（しば よしひろ）または六角高頼（ろっかく たかより）の娘であるという説があります。彼女が「武衛娘」と呼ばれる理由も、この出自に由来すると考えられています。斯波氏は、代々武衛府の官職を務めていたことから「武衛家」と呼ばれていました。一方、六角氏も武衛に相応しい官職にあったことが、彼女が武衛娘と呼ばれる理由の一つとされています。

しかし、この点について、歴史学者の木下聡（きのした さとし）は、斯波氏のみが恒久的に「武衛」と呼ばれると指摘しています。六角氏が「武衛」と呼ばれることは、室町・戦国時代を通じてなく、その根拠となる官途も一次史料からは確認できないと述べています。木下氏は、系図のみに記される官途をもとに一次史料に反映させることの危うさを指摘し、当時の官途秩序や武家社会のあり方、六角氏を記す一次史料から考えて、六角氏が武衛と呼ばれることはあり得ないと断じています。

足利義澄との婚姻

1505年（永正2年）、足利義澄は正室であった日野阿子（ひの あこ）と離縁しました。その後、武衛娘は義澄の継室として迎えられました。この婚姻が、当時の政治情勢や将軍家の勢力関係にどのような影響を与えたのかについては、詳しい記録が残っていないため、明確にはわかっていません。

武衛娘の生涯については、その出自や名前を含め、不明な点が多いですが、室町幕府の将軍家に関わった女性として、その存在は歴史に名を刻んでいます。今後の研究によって、彼女の生涯や足利義澄との関係について、新たな発見があることが期待されます。

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