足利義澄

足利義澄とは

足利義澄（あしかが よしずみ）は、室町幕府の第11代征夷大将軍です。在職期間は明応3年（1495年）から永正5年（1508年）まで。父は第8代将軍・足利義政の異母兄である堀越公方・足利政知です。義澄は、激動の時代に翻弄され、将軍の座を追われるという不遇な生涯を送りました。

生涯

幼少期

文明12年（1480年）、堀越公方・足利政知の次男として生まれました。幼名は清晃（せいこう）。兄の茶々丸が堀越公方の後継者とされていたため、叔父である足利義政の意向で天龍寺香厳院の住職となります。その後、義政が後継者を失い、将軍の座が空位となると、清晃も後継者候補の一人に挙がりました。しかし、義政の未亡人・日野富子の推挙により、従兄弟の足利義材（のちの義稙）が第10代将軍に就任しました。

明応の政変と将軍就任

明応2年（1493年）、明応の政変で管領・細川政元らが義材を追放。清晃は、日野富子や伊勢貞宗らに擁立され、第11代将軍に就任しました。この時、還俗して義遐（よしとお）、義高（よしたか）と改名し、のちに義澄と名乗りました。しかし、実権は細川政元や日野富子らに握られ、義澄は傀儡に近い立場でした。元服の儀式も、細川氏一門によって仕切られるなど、その影響力の大きさを物語っています。

義澄は成長するにつれて、自ら政治を行おうとしますが、細川政元と対立。一時的に政元が管領を辞任するも、すぐに復帰。義澄が岩倉の金龍寺に引き籠もるなど、両者の関係は悪化していきます。義澄は、武田元信の登用や、義材の異母弟である実相院義忠の処刑を求め、政元もこれに応じました。しかし、義忠殺害によって政元は、義澄に代わる将軍候補を失い、義澄を廃することが不可能となりました。その後も、義澄と政元は政治的に対立しつつも協力関係を維持しました。

永正の錯乱と凋落

永正4年（1507年）、細川政元が暗殺され、細川氏の内紛（永正の錯乱）が勃発。翌永正5年（1508年）、前将軍・義尹（義材より改名）を擁立する大内義興の軍勢が上洛。義澄は近江国へ逃れ、将軍職を廃されました。その後、復権を目指して各地を転戦しますが、敗北を重ね、失意のうちに水茎岡山城で病死しました。享年32歳。

死後

義澄の死後、細川澄元・三好之長らが挙兵しますが、船岡山合戦で敗北。義尹の将軍職が確定しました。義澄の息子たちは、それぞれ赤松義村と細川之持に引き取られました。義澄の墓所は不明ですが、山梨県に墓と伝わる五輪塔があります。

義澄の人物像

足利義澄は、激動の室町時代末期に、将軍として翻弄された人物でした。傀儡として擁立されながらも、自ら政治を行おうとする意志を持ちましたが、時代の波に飲み込まれてしまいます。その生涯は、室町幕府の衰退と戦国時代の幕開けを象徴していると言えるでしょう。

関連情報

偏諱を受けた人物: 義澄は、義高時代、義澄時代それぞれで多くの人物に偏諱を与えています。これは、当時の武将たちの主従関係や権力関係を示すものであり、歴史を読み解く上で重要な手がかりとなります。
関連作品: 義澄を題材としたTVドラマも制作されており、歴史に興味を持つきっかけになるかもしれません。
* 墓所、肖像、末裔: 義澄の墓所や肖像は、史料が乏しく不明確な部分もあります。しかし、末裔とされる伝承が残る地域もあり、歴史のロマンを感じさせてくれます。

まとめ

足利義澄は、室町幕府の衰退期における悲劇の将軍でした。その短い生涯は、室町幕府の終焉と戦国時代の到来を告げるものであり、歴史の転換点を示す重要な人物として、今後も研究が続けられるでしょう。

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