歩く死体

歩く死体

「歩く死体」（あるくしたい）は、1991年3月14日に放送されたフジテレビの名作短編ドラマ『世にも奇妙な物語』の一編です。主演を務めたのは渡辺裕之であり、他にも高尾由美や小宮孝泰などが出演していることから話題となりました。この作品は、当時から現代に至るまで都市伝説のひとつとして語り継がれており、その恐怖感を醸し出しています。

ストーリー概要

物語の中心となるのは、カメラマンの斎藤一景です。彼は恋人の篠田明子と雪山に登山する計画を立てますが、運命の巡り合わせから二人は遭難してしまいます。結果的に生き残ったのは斎藤一人だけで、彼は深い悲しみに打ちひしがれながらも「死体が歩くんだ！」と叫びます。

ここから物語が展開します。斎藤は病院に運ばれ、彼の手記を助手の村田京介が読み始めます。その手記の中には衝撃的な内容が書かれていました。篠田は死んだはずですが、斎藤が毎晩彼女の遺体を埋めると、次の日には再びテントに姿を現すというのです。限界に達した斎藤は、死んだ篠田の動く姿を撮影しよう決意します。

村田がその驚愕の手記を読み進めると、遭難中に撮影した写真が看護師から渡されます。その写真には、何と斎藤が篠田の死体を掘り起こしている姿が写っていたのです。ここで徐々に明らかになる真実は、斎藤が睡眠中に無意識のうちに篠田の遺体を掘り出し、移動させていたというものでした。彼は「歩く死体」と目される篠田を実際には自分自身が無意識に運んでいたのです。

村田はこの事実に愕然し、急いで斎藤の病室に向かいます。しかし、そこにはすでに斎藤の姿はなく、彼は無意識に霊安室から篠田の遺体を持ち出してどこかへと歩いて行ってしまっていたのです。この計り知れない恐怖の余韻が、この作品の恐ろしさを一層引き立てます。

キャストとスタッフ

この作品では、斎藤一景役を渡辺裕之が演じ、篠田明子役には高尾由美がキャスティングされています。また、助手役の小宮孝泰をはじめ、他のキャラクターを演じる俳優陣も豪華です。製作にあたっては、脚本を小野沢美暁が担当し、監督・演出には久野浩平が名前を連ねています。

余談

「歩く死体」という物語は、1991年以前から存在する古典的なテーマを元にしたもので、S・H・アダムズの『テーブルを前にした死骸』や、夢枕獏の『何度も雪の中に埋めた死体の話』などがその例に挙げられます。この作品の独自性は、こうした背景を踏まえつつも新たな視点を加えることで、多くの視聴者に衝撃を与えました。

また、人気を受けてこの作品は後に特別編の映画としても制作され、さらなる拡大を見せています。ノベライズ版も出版され、同じく『世にも奇妙な物語4』の一部として1991年に発売されました。このように、作品自体が名作となり、後世に多大な影響を与えることとなります。

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