久野浩平

久野 浩平 (ひさの こうへい)

久野浩平（1929年11月2日 - 2010年1月1日）は、日本を代表する演出家であり、テレビドラマやラジオドラマの領域で数多くの作品を手掛けた人物です。福岡県に生まれ、九州大学を卒業後、ラジオ九州（現在のRKB毎日放送）に入社しました。彼のキャリアのスタートはラジオドラマのディレクターとしてであり、そこでの活躍が彼の後の成功に繋がりました。

彼が担当したラジオドラマ「魚と走る時」など、数々の秀作を生み出す中で、若き日の劇作家、寺山修司の才能を見出したのも彼の業績の一つです。その後、久野はテレビドラマの演出に進出し、特にTBS系列の「東芝日曜劇場」や「近鉄金曜劇場」において多くの作品を手掛けることになります。彼の代表作には「死ぬほど逢いたい」、「ひとりっ子」、「山ほととぎす ほしいまま」や「海より深き」があり、これらの作品はテレビドラマの創生期において重要な評価を受けました。

これらの作品によって久野は数多くの賞を受賞し、特に芸術祭賞などのテレビコンクールでの成功により、「芸術祭男」という異名がつけられました。彼の演出はその独自の視点と作品への情熱が光っており、視聴者に深い印象を与えました。

1968年にRKBを退社し、日本教育テレビ（現在のテレビ朝日）に移籍すると、「ポーラ名作劇場」において数々の作品を担当。ここでの代表作には「続・氷点」や「冬の花・悠子」があり、特に「冬の花・悠子」は日本民間放送連盟賞の最優秀賞を受賞するなど、高い評価を受けました。

その後、久野は1979年頃にテレビ朝日を退社し、制作プロダクション「PDS」を設立。以降も「午後の恋人」や「生きて行く私」、さらには「小さな訪問者」といった多彩な作品に関わり、彼の演出家としての才能を多方面に発揮しました。

久野浩平は、2010年1月1日に肺炎により、横浜市内の病院で世を去りました。彼の死は日本の演劇界における大きな損失とされており、彼が残した作品は今でも多くの人々に愛されています。彼の人生は、数々の名作を通じて、若き演出家たちへの道しるべとして今なお影響を与え続けています。

主な作品

RKB時代

• - 東芝日曜劇場

- ある休暇（1961年）
- 死ぬほど逢いたい（1962年）※芸術祭奨励賞
- ひとりっ子（1962年）※放送中止
- わたしはもう歌わない（1963年）
- アディオス号の歌（1966年）

• - 近鉄金曜劇場

- 女は希っている（1963年）
- 青銅の基督（1964年）
- 山ほととぎす ほしいまま（1964年）
- 目撃者（1964年）※芸術祭奨励賞受賞
- 海より深き 〜かさぶた式部考〜（1965年）※芸術祭大賞受賞

NET・テレビ朝日時代

• - ポーラ名作劇場

- 皇女和の宮（1968年）※プロデューサー
- 続・氷点（1971年 - 1972年）
- 冬の花・悠子（1974年）※日本民間放送連盟賞最優秀賞受賞
- 櫂（1975年）
- 冬の虹（1976年）
- 緑の夢を見ませんか?（1978年）
- みずきの花匂うとき（1978年）

1979年以降

• - 午後の恋人（1979年、フジテレビ）
• - 聖女房（1979年、読売テレビ）
• - ゴールデンドラマシリーズ

- ささやかな設計（1980年、フジテレビ）

• - 木曜ゴールデンドラマ

- 華岡青洲の妻（1980年）
- あふれる愛に!（1983年）※ギャラクシー賞受賞

• - 月曜ワイド劇場

- 婚約 北の国から来た花嫁（1983年）

• - BSサスペンス

- 遠い国からの殺人者（1995年、NHK-BS2）

彼が創り上げた作品群は、日本の映像文化に深い影響を与え続けています。彼の業績は、今でも多くの制作現場で話題にされ、後進の演出家たちにインスピレーションをもたらしています。

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