歩武の駒

『歩武の駒』

概要

『歩武の駒』は、村川和宏が描く将棋をテーマにした漫画作品であり、棋士の深浦康市が監修を務めました。この作品は1999年から2000年にかけて、『週刊少年サンデー』に連載され、全5巻の単行本が発行されています。村川のデビュー作でもあり、将棋題材の漫画としては『駒が舞う』以来の久々の登場でした。特に1998年12月に開始された『ヒカルの碁』の囲碁ブームを受け、将棋の魅力を再発信する作品となりました。

あらすじ

物語は、16歳の雪村歩武が主人公です。彼は5年前に両親を交通事故で失・い、現在は親戚の家から自立し、かつて住んでいた町の高校に転入します。そこで、幼なじみの北山桂子と再会し、彼女が奨励会の三段として活躍していることを知ります。桂子との対局を通じて、歩武の心に眠っていた将棋への情熱が再び目覚め、プロ棋士を目指す決意を固めるのです。

歩武は強者たちとの対局を重ねながら、少しずつその実力を示していきます。最終的には、7年後の名人戦でかつての師匠である最上聡士と戦う姿が描かれます。彼の成長と共に、将棋の世界に戻った彼の心の葛藤や、恋愛や友情の要素も盛り込まれています。

登場人物

• - 雪村歩武（ゆきむら あゆむ）

本作の主人公で、16歳の高校2年生。両親を事故で失い、独り立ちしてアパート暮らしをしています。桂子と再会することで将棋を再び指すようになり、持ち前のセンスで次第に実力を伸ばします。彼は四間飛車を得意技としており、独自のスタイルで局面を切り開くクリエイティビティを持っています。恋愛については鈍感で、誰にでも優しく接します。

• - 北山桂子（きたやま けいこ）

歩武の幼なじみで、現在は奨励会の三段として活躍中。彼女は守りが得意で、「守りの北山」として知られています。歩武の将棋を再開させるきっかけとなり、密かに彼に恋心を抱いています。最終話では、歩武と共にプロ棋士として活躍しています。

• - 楯岡将一（たておか しょういち）

奨励会員で、関西で活躍する三段リーグ在籍の棋士。お調子者で、恋人の幸子との関係も描写され、コミカルな側面も持ち合わせています。最終話ではプロ入りを果たしています。

• - 尾花沢孝（おばなざわ たかし）

日本将棋連盟の七段棋士で、桂子の師匠です。歩武の実力を認めて彼を奨励会に導きます。龍を使った攻めが特徴であり、他の棋士たちとの人間模様も描かれています。

• - 最上聡士（もがみ さとし）

歩武の師匠で、五段の専門棋士。彼は「黒き龍」と呼ばれる攻撃スタイルを持ち、弟子である歩武と最終的に名人戦を戦うことになります。

書誌情報

この作品は全5巻から成っており、小学館の少年サンデーコミックスとして販売されています。

• - 第1巻: 1999年7月17日発売
• - 第2巻: 1999年9月18日発売
• - 第3巻: 1999年12月10日発売
• - 第4巻: 2000年3月18日発売
• - 第5巻: 2000年5月18日発売

関連作品

他にも、村川和宏の後作である「マサルの一手!」や、『365歩のユウキ』、『葉弥-HAYA!!-』など、多くの関連作品が存在します。

『歩武の駒』は、青春の成長と将棋の熱戦を描いた作品であり、将棋を愛する人々にとって魅力的な物語が展開されています。

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