歯科技工士

歯科技工士についての詳細

歯科技工士（しかぎこうし、英: Dental Technician）は、歯科医師が作成した指示に則り、義歯や補綴物（差し歯や銀歯など）を製作する医療技術の専門職です。この職業は、歯科技工士法に関連し、国家試験を通過し厚生労働大臣から免許を取得した者にのみ許可されている業務独占資格です。そのため、歯科医師や他の専門職が同様の業務を行うことは法的に禁じられています。

近年、歯科医療の質向上に伴い、求められる技術の難易度が上がっており、高度な技術と美的感覚が特に重視されています。技術士には義歯だけでなく、顎顔面領域における義眼、耳型、さらには義指といった、より多様な補綴物を手がける技術士も存在します。しかし、志願者の減少が見られ、養成機関も少なくなっています。

日本においても、デジタル技術の急速な進化や新素材の開発が進み、効率化と精度の向上が求められています。特に、CAD/CAM（コンピュータ支援設計/製造）技術や3Dプリント技術の普及は、技術士が行っていた多くの手作業を自動化しつつあります。具体的には、作業模型の製作、咬合器装着、ワックスアップ、鋳造、インレーやクラウン、ブリッジなどの製作に至るまで、その過程でのデジタル技術の活用が進んでいます。現在、日本では3Dデンチャーの羅針盤は整っていないものの、サージカルガイド（インプラントの埋入位置を正確に案内するために装着するレジン製テンプレート）の3Dプリント製作など、臨床的な応用の試みが始まっています。

日本歯科技工士会が職能団体としてその地位を確立しつつあり、他国に比べて免許資格制度が独自の仕組みを持っています。一部の国では、講習会を通じて認定資格を取得できる制度があるため、日本の体系とは異なっています。

しかし近年、20代の離職率が高まっており、養成機関への入学者数も下降していることで、歯科技工士の多くが50歳以上と高齢化が進行しています。このため、厚生労働省では、歯科技工士の養成と確保に関する施策を検討する会議を設け、問題解決に取り組んでいます。

日本における歯科技工士になるためには、歯科技工士国家試験に合格することが必要です。養成機関では、2〜4年の教育課程を経て国家試験に挑む仕組みで、2023年4月時点で52校の機関が存在しています。これらの機関内訳は、4年制大学が3校、短大が2校、専門学校が48校です。

卒業後には、ほとんどの者が歯科技工所や歯科医院に就職し、令和2年の衛生行政報告によれば、約73%が歯科技工所で働いています。このため、技術の進化に伴う役割の変化や業務範囲の拡大が期待され、医療連携の重要性が高まっています。

従って歯科技工士の専門性を高め、歯科以外の分野にも広げる必要性が懸念されています。今後も医療現場での役割がさらに拡がることで、重要な職業であることが一段と強調されることでしょう。

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