死体安置所

死体安置所とは

死体安置所（したいあんちじょ）は、検死や埋葬、火葬の準備などのために、一時的に遺体を保管するスペースを指します。多くの場合、遺体安置所や死体保管所、死体置き場、モルグとも呼ばれます。特に病院内での施設は霊安室と称され、より特化した用途を持っています。

モルグの語源と呼称

日本語において用いられる「モルグ」という用語はフランス語の「morgue」が由来であり、その語源は「morguer」にあります。この言葉は、かつて刑務所において新たに収監された囚人を管理するための場所を指していましたが、15世紀のパリにおいて身元不明の死体を保管・識別する場所の意味が確立されました。英語圏では「mortuary」が一般的に使われ、北米では「morgue」がよく用いられています。イギリスでは、子供向けに病院の霊安室を「バラの別荘（Rose Cottage）」や「虹の部屋（Rainbow Room）」と称することもあります。また、遺体の管理や洗浄を行う専門職は「ディーナー（Diener）」として知られています。

保存方法の種類

死体安置所では、遺体の保存方法は主に二種類に分類されます。1つ目は低温保存で、通常2℃から4℃の範囲で保管されます。この方法は、数週間の保存が可能ですが、完全に腐敗を防ぐものではありません。2つ目は零下保存で、-15℃から-25℃の範囲で保管されるものであり、特に身元や死因が不明な遺体の検死に用いられます。

世界各国の取り組み

死体の埋葬は、死亡から72時間以内に行われることが一般的な国もあれば、一部の地域では数週間から数ヵ月後に埋葬が行われることもあります。これは、遺族が葬儀に必要な費用を調達するための余裕を持つためです。そのため、遺体は病院や葬儀社の死体保管所にしばらく保管されます。一部の葬儀場は火葬を兼ねており、宗教によっては遺族が火葬の様子を見守ることが求められることもあります。これに対応するために、火葬炉には視覚窓が設けられる場合があります。

待ち死体置き場の歴史

「待ち死体置き場（waiting mortuary）」は、死亡確認を目的として設置された特別な安置所です。これは、以前は死亡が確定しないまま埋葬されてしまうことを防ぐために利用されていました。19世紀のドイツで特に人気があり、死体にはベルが付けられ、付添い人が生存の兆候を発見できるよう配慮されていました。しかし、その実際の成功事例は無く、語源としては「Saved by the bell」という言い回しに影響を与えています。

まとめ

死体安置所は、故人の最後の行き先を見守る大切な役割を果たしています。その文化的、社会的な意義は国や地域によって異なるものの、共通して遺体の扱いについての配慮がなされていることは間違いありません。

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