死火山

死火山とは

死火山とは、かつて用いられていた火山の分類の一つで、有史以降に噴火の記録がない火山を指す言葉でした。かつては活火山、休火山と並んで、火山の活動度合いを示す便宜的な分類として用いられていましたが、現在では学術的な用語としては使われなくなっています。

歴史的背景

従来の火山の分類は、噴火活動の有無に基づいたものでした。英語の「Active volcano（活火山）」、「Dormant volcano（休火山）」、「Extinct volcano（死火山）」という分類が、日本にも導入され、地質学の分野で使用されるようになりました。しかし、初期の段階から、これらの分類はあくまで便宜的なものと認識されていました。

地質学者の横山又次郎は、著書の中で、有史以来活動していなかった火山が突如として活動を開始する例もあることから、このような分類を「非学術的」であると指摘していました。また、佐藤伝蔵も、その著書において「全く便宜上のもの」として、この分類を位置づけていました。

定義の曖昧さと問題点

死火山の定義は、一般的に有史以降の活動の痕跡がないことを基準としていました。しかし、「有史時代」の解釈は地域によって異なり、厳密な定義を行うことが困難でした。文字文化の発展時期が異なるため、世界共通の基準を設けることが難しかったのです。

さらに、年代測定技術の進歩により、数万年単位の噴火周期を持つ火山が存在することが明らかになりました。この発見により、有史時代の記録だけでは火山の活動状況を判断できないことが判明し、死火山という分類の妥当性が失われました。

学術用語としての廃止

このような背景から、死火山という言葉は、休火山とともに学術的には使用されなくなりました。現在では、活火山以外の火山は「活火山ではない火山」などと表現されます。

御嶽山の噴火

かつて死火山と考えられていた木曽御嶽山が、1979年に水蒸気爆発を起こしたことは、火山の分類を見直す大きなきっかけとなりました。この噴火は、過去の記録だけでは火山の活動を判断できないことを改めて示しました。

まとめ

死火山という言葉は、かつては火山の活動度合いを示す便利な指標でしたが、定義の曖昧さや科学的な根拠の薄さから、現在では学術的には使用されていません。火山の研究が進むにつれて、より正確な情報に基づいた分類や評価が求められるようになっています。

関連項目

火山
活火山
* 休火山

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