段落記号

段落記号：文書を整理する小さな記号

段落記号「¶」は、文書における段落の区切りを示す記号です。英語ではpilcrow、paragraph mark、またはalinea（ラテン語で「行から離れて」の意）と呼ばれ、古くから文書の構成を明確にするために用いられてきました。

段落記号の歴史と役割

中世において、段落記号は朱書の一種として用いられ、視覚的に段落を区別する役割を果たしていました。当時は、段落の明確な視覚的区別が一般的ではなかったため、一連の考えをまとめるのに有効な手段でした。段落の始まりまたは終わりに配置され、文章の構成を理解しやすくするものです。

その形状は、小文字のqを上下逆さまにしたようなデザインが一般的です。丸の内側は塗りつぶされていてもいなくても構いません。古い印刷物では、椀型の部分を更に下に伸ばし、反転したDのような形で見られることもあります。

記号の形状は、ラテン文字の「C」（capitulumの頭文字。「章」を意味するラテン語）にスラッシュを加えたものが起源であるとされています。Paragraphの頭文字ではない点に注意が必要です。

段落記号の入力方法

段落記号の入力方法は、使用する環境によって異なります。

日本語IME: 「だんらく」などと入力することで変換候補として表示されます。
Mac OS: ⌥ Opt+7キーの組み合わせで入力できます。
Vim: インサートモードで⎈ Ctrl+K PIと入力します。
Windows: Altコードを使用します。Alt+0182またはAlt+20（テンキーを使用）です。ただし、使用するフォントによって表示が異なる場合があります。
X Window System: Composeキーと⇧ Shift+P, ⇧ Shift+Pの組み合わせです。
LaTeX: \Pまたは\textpilcrowと入力します。
携帯端末: iPadなどでは、Cymbolなどの追加ソフトウェアが必要となる場合があります。

多様な言語における段落記号

段落記号の表現は言語によって異なります。

中国語: 古書では、文字と同じ大きさの円(○)が用いられていました。
タイ語: U+0E5B ๛ (thai character khomut)という文字が、章や文書の終わりを示すのに用いられます。
サンスクリット語およびインド諸語: 二本の棒(||)が段落記号として使用されてきました。

段落記号のUnicodeとバリエーション

Unicodeでは、いくつかのバリエーションが定義されています。

標準: U+00B6 ¶ pilcrow sign (182decimal)
反転: U+204B ⁋ reversed pilcrow sign (8267decimal)
飾り文字: U+2761 ❡ curved stem paragraph sign ornament (10081decimal)

関連記号

段落記号と同様に、[文書]]の構成を示すために用いられる記号には、節記号(§)、短剣符(†)、二重短剣符(‡)、アスタリスク]、アステリズム(⁂)などがあります。また、[[へデラ（フルーロン）も、文章の終わりや長い一節の区切りを示すのに用いられていました。

段落記号は、一見小さな記号ですが、文書の構成を明確にし、読みやすさを向上させる上で重要な役割を果たしています。その歴史と多様な表現方法を知ることで、文書作成に対する理解が深まるでしょう。

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