殺人機械

殺人機械 (Killing Machine)

『殺人機械』（原題：Killing Machine）は、イギリスのヘヴィメタル・バンド、ジューダス・プリーストが1978年に発表した通算5枚目のスタジオ・アルバムである。アメリカ合衆国では、タイトルを『Hell Bent for Leather』と改題してリリースされた。

音楽性と評価

本作は、前作『ステンド・グラス』が持っていたプログレッシブな要素の複雑さを引き継ぎつつ、次作『ブリティッシュ・スティール』で顕著となるスタジアム・ロック路線への移行期に位置づけられる作品である。音楽的には、より重厚なサウンドを追求しつつも、「テイク・オン・ザ・ワールド」のようなポップ色の強い楽曲も取り入れられた。allmusic.comの音楽評論家スティーヴ・ヒューイは、本作を両作の「過渡期の作品」と評している。

バンドのイメージ変化

このアルバムの発表時期から、バンドのステージ・イメージは大きく変化した。特にレザー・ジャケットを中心とした衣装が定着し、これがその後のバンドの象徴的なスタイルとなる。また、ボーカリストのロブ・ハルフォードがライヴ・パフォーマンスでハーレーダビッドソンに乗って登場するという演出が始まり、視覚的なインパクトを強めた。

収録曲とシングル・ヒット

オリジナルとなるイギリス盤は10曲構成で発表されたが、アメリカ盤にはフリートウッド・マックのカヴァー曲「グリーン・マナリシ」が追加され、全11曲でリリースされた。この時期の活動はバンドにとって商業的な成功をもたらした。

本作からのシングルでは、「テイク・オン・ザ・ワールド」が全英シングル・チャートでバンドとして初めてトップ100入りを果たし、最高14位を記録した。続くシングル「イヴニング・スター」も全英53位に達している。これらのシングルのヒットを受け、バンドはこの時期にイギリスの人気音楽番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』に2度出演を果たした。

再発盤ボーナス・トラック

2001年に再リリースされたリマスターCDには、未発表音源である「ファイト・フォー・ユア・ライフ」と、アルバム『復讐の叫び』（1982年）収録曲「嵐の出撃」のライヴ・ヴァージョンがボーナス・トラックとして追加収録された。「ファイト・フォー・ユア・ライフ」の一部リフやパートは、後にアルバム『背徳の掟』（1984年）に収録された楽曲「鋼鉄の魂」に流用されたことが知られている。

収録曲リスト

特記なき楽曲はロブ・ハルフォード、K. K. ダウニング、グレン・ティプトンの共作。

1. ユダへの貢物 - Delivering the Goods - 4:16
2. ロック・フォーエヴァー - Rock Forever - 3:19
3. イヴニング・スター - Evening Star (Rob Halford, Glenn Tipton) - 4:06
4. 殺戮の聖典 - Hell Bent for Leather (G. Tipton) - 2:40
5. テイク・オン・ザ・ワールド - Take on the World (R. Halford, G. Tipton) - 3:01
6. バーニング・アップ - Burnin' Up (K.K. Downing, G. Tipton) - 4:06
7. グリーン・マナリシ - The Green Manalishi (With the Two-Pronged Crown) (Peter Green) - 3:22 (アメリカ盤ボーナス・トラック)
8. 殺人機械 - Killing Machine (G. Tipton) - 3:01
9. ランニング・ワイルド - Running Wild (G. Tipton) - 2:57
10. ビフォー・ザ・ドーン - Before the Dawn - 3:23
11. 邪悪のファンタジー - Evil Fantasies - 4:13

2001年リマスターCD ボーナス・トラック

12. ファイト・フォー・ユア・ライフ - Fight for Your Life - 4:04 (未発表曲)
13. 嵐の出撃 (ライヴ) - Riding on the Wind - 3:15

他アーティストによるカヴァー

本作収録曲は、他のアーティストによってカヴァーされている。

ユダへの貢物 (Delivering The Goods):
スキッド・ロウ：EP『B-Side Ourselves』（1992年）に、ロブ・ハルフォードがゲスト参加したライヴ・ヴァージョンを収録。
メガデス：ジューダス・プリーストのロックの殿堂入りを祝し、2022年にデジタル配信リリース（当初Amazon Music限定、後に他プラットフォームでも配信）。
殺戮の聖典 (Hell Bent for Leather):
アナイアレイター：シングル「Set the World On Fire」（1993年）のカップリング曲としてカヴァー。

参加ミュージシャン

ジューダス・プリースト

ロブ・ハルフォード：ボーカル
K. K. ダウニング：リードギター
グレン・ティプトン：リードギター
イアン・ヒル：ベース
レス・ビンクス：ドラムス

スタッフ

プロデュース＆エンジニア：ジェイムズ・ガスリー
Co-プロデュース：ジューダス・プリースト
アシスタント・エンジニア：ダミアン・コーナー、アンドリュー・ジャクソン、ケビン・ダリモア、アンドリュー・クラーク

レコーディング・スタジオ

Utopia Studios、Basing Street、CBS Studios London

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