殺意の団欒

殺意の団らん（Assault and Matrimony）

『殺意の団らん』は、1980年に発表されたジェームズ・アンダースンのミステリ小説です。この作品は、夫婦の緊張関係と裏切りがテーマとなっており、その心理描写が巧みに描かれています。日本語訳は北村太郎によって1989年に文春文庫から出版されています。

あらすじ

物語は、ある水曜日の朝に始まります。主人公シルヴィアは、夫エドガーを殺すことを決意します。しかし、実はエドガーもまた火曜日に妻のシルヴィアを殺す計画を立てていたのです。この物語の舞台はイギリスの田舎町にある樅の木荘で、夫婦間の古くからの問題が火花を散らせます。特に、樅の木荘を巡る売却問題は、夫妻の間での感情のもつれを一層複雑にします。

この作品では、普段の生活では見えない夫婦の陰湿な思惑や、お互いへの不信感が緻密に描かれています。果たして、それぞれの計画はどのように展開し、終わるのか。最後まで目が離せない展開が続きます。

テレビドラマ化

『殺意の団らん』は1990年に日本テレビ系列の『火曜サスペンス劇場』でドラマ化され、特別な2時間枠で放送されました。このドラマでは、舞台がイギリスから日本に置き換えられ、ストーリーには一部変更が加えられていますが、全体の流れは原作に忠実です。

ドラマ版では、箱根に広がる屋敷に住む熟年夫婦・小百合（倍賞美津子）と雄一郎（蟹江敬三）が主人公となります。彼らは互いに高額な保険金を掛け合い、殺害機会を伺っていますが、お互いの思惑を隠しつつ過ごしています。

ある日、小百合の従弟である卓也がアメリカから帰国します。卓也は小百合たちの土地にドライブインレストランを建設したいと提案しますが、その条件として8億円で土地を譲ってほしいと言います。これを受けて、小百合は逆に卓也の土地を2億円で購入する提案をするのですが、東京への引っ越しを条件にした雄一郎から反対されます。こうして双方の殺意はますます高まり、物語はクライマックスへと進展します。

出演者とスタッフ

ドラマに登場する主なキャストには、熟年夫婦役の倍賞美津子（小百合役）、蟹江敬三（雄一郎役）がいます。その他にも、斉藤卓也役の西岡徳馬や、安達裕美子役の戸川純など、多彩な役者陣が出演しており、彼らの演技がストーリーを一層引き立てています。

スタッフ面では、原作を忠実に脚色した高田純が脚本を執筆し、音楽は大谷和夫が担当しました。また、監督には神代辰巳が起用されています。制作はメリエスが手掛けており、クオリティの高い映像作品へと仕上がっています。

このように『殺意の団らん』は、ミステリ小説とその映像化を通じて、夫婦の複雑な心理や人間関係の暗い側面を浮き彫りにしています。読者や視聴者は、この作品を通じて、普段は見逃しがちな人間関係の裏側に触れることができるでしょう。

もう一度検索