火曜サスペンス劇場

『火曜サスペンス劇場』は、1981年9月29日から2005年9月27日までの24年間にわたり、日本テレビ系列で放送された2時間ドラマ枠です。略して「火サス」と呼ばれ、毎週火曜日の21時から22時54分に放映されていました。その人気は現在も健在で、再放送や配信が行われています。

番組の構成は基本的に1話完結で、多様なサスペンスドラマが展開されましたが、たまにはホラーや時代劇、特撮ドラマも放送されることがありました。この番組は、特に人間ドラマを重視しており、登場人物が抱える問題や背景を丁寧に描き出すことを大切にしていました。例えば、初期のプロデューサーである小坂敬は、「哀しくなければサスペンスじゃない」という信念のもと、謎解きに終始せず、深い人間ドラマを前面に出す作品作りを目指しました。

最初のエピソードは、島田陽子主演の「球形の荒野」（松本清張原作）であり、放送が始まった1980年代は、日本や海外の様々な推理作品が映像化されました。特に、松本清張作品が盛んに取り上げられ、ベテランスタッフの手による重厚な作品が多く放送されました。その結果、全盛期には視聴率が25％を超えることも珍しくなく、日本テレビにとっては重要なドラマ枠となりました。

1990年代に入ると、視聴者層は主に50歳代から60歳代の女性に絞られ、定番シリーズも数多く放送されました。特にこの時期、日本テレビの全体的な視聴率が上昇傾向にあったため、「火曜サスペンス劇場」も高い競争力を維持していました。すなわち、ドラマ視聴率ランキングで上位に食い込むことも常でした。

また、制作陣には大林宣彦や神代辰巳、鈴木清順、実相寺昭雄といった有名監督も多く起用され、意欲的な作品が多く生まれました。その際、多くの作品が難解なストーリーや前衛的な演出を取り入れ、従来の2時間ドラマの枠を超える試みも見られました。たとえば、番組のスタッフロールにおいても、1985年以降は「制作：日本テレビ」と「製作・著作：（担当プロダクション）」という形で表記が変更されるなど、番組の進化が見られました。

最終回では火サス最多出演の水谷豊が主演する「事件記者・三上雄太III 逃走援助」が放送され、ここでも高評価を得ていました。しかし、2000年代に入ると視聴率が減少し、2005年の放送終了に至りました。その後、後継番組として「DRAMA COMPLEX」や「火曜ドラマゴールド」が始まり、しばらくは副音声や字幕放送も実施されていました。

放送終了から約5年後には、『DON!』という情報番組の一コーナーで「火曜サスペンス劇場」が取り上げられ、当時の人気俳優や女優のインタビューが放送されました。また、番組の音楽も注目され、オープニングテーマや主題歌は多くの人々に愛され続けています。特に、岩崎宏美が歌った「聖母たちのララバイ」は、番組のエンディングに使用され大ヒットを記録しました。このように『火曜サスペンス劇場』は、単なるドラマの枠を超え、視聴者の記憶に強く残る作品として位置づけられています。

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