母 (三浦綾子の小説)

『母』は、作家・三浦綾子が、激動の時代を生き抜いた母と息子の姿を描いた小説です。

物語の中心となるのは、小林セキ（1873年 - 1961年）と、その次男でプロレタリア作家として知られる小林多喜二です。セキは、明治、大正、昭和という激動の時代を生き、多喜二は、その中で社会変革を訴え、短い生涯を駆け抜けました。

小説では、第二次世界大戦後のセキの姿も描かれており、彼女がどのような思いで時代を生き抜いたのかが丁寧に描写されています。息子である多喜二の活動と、それを見守る母の姿を通して、当時の社会情勢や人々の暮らし、そして家族の絆が浮かび上がります。

この作品は、1992年に角川書店から刊行され、1995年には角川文庫に収録されました。

『母』は、映画や舞台でも展開されています。2016年には『母 小林多喜二の母の物語』として映画化され、2017年に公開されました。また、舞台化もされており、1993年から前進座、2005年からは劇団アドックによって上演されています。さらに、河東けい（関西芸術座）は、1993年から『母－多喜二の母』という題名で一人芝居を関西を中心に上演し、中国や韓国でも公演を行っています。

関連作品として、三浦綾子の小説『銃口』や、小林多喜二の代表作『蟹工船』があります。これらの作品と合わせて読むことで、より深く時代背景や作家の思想を理解することができます。

『母』は、一人の女性の強さ、そして時代に翻弄されながらも、家族を愛し続けた母の姿を描いた感動的な作品です。多くの読者に、生きる力と希望を与え続けています。

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