毎度おさわがせします

毎度おさわがせします：思春期の性とユーモアが交錯する青春ドラマ

1985年から1987年にかけて、TBS系列で放送されたテレビドラマ『毎度おさわがせします』は、当時としては異例ともいえる大胆な内容で大きな話題を集めました。全3シリーズにわたって制作され、多摩ニュータウンや横浜市を舞台に、思春期真っ盛りの男子中学生・高校生3人組の騒動劇がコミカルに描かれています。

若者たちの性への目覚めと葛藤

このドラマの最大の特徴は、それまでゴールデンタイムのドラマではほとんど取り上げられなかった、思春期の若者たちが抱く「性」への関心を正面から描いた点にあります。主人公たちは、異性への好奇心、性的な欲求、そしてそれらに伴う悩みや葛藤を、時にユーモラスに、時にシリアスに表現します。下ネタや、下着姿・半裸のシーンも多く含まれており、当時の視聴者からは賛否両論が巻き起こりました。

特に、「セックス」「射精」といった性に関する言葉をストレートに使用した描写は、多くの親世代から「過激すぎる」との批判を受けました。しかし、一方で、中高生の男子を中心に圧倒的な人気を博し、シリーズ1と2では平均視聴率20％を記録、最終回では26.3％（関東地区）、関西地区では32.0％という驚異的な数字を叩き出しました。

当時、日本の学校教育における性教育は、初潮や妊娠といった生理現象の解説にとどまる程度でした。そのため、このドラマは性教育の必要性を社会に問いかける、一種の社会現象を巻き起こしたといえるでしょう。そして、このドラマが放送された後、1990年代以降には、男女平等な性教育が徐々に浸透していくきっかけになったとも言われています。

プロレスと性教育の意外な組み合わせ

本作では、ストーリーの展開とは無関係に、プロレスラーが登場して乱闘を繰り広げるシーンが毎回挿入されるという、独特の演出も特徴です。この一見すると突拍子もない演出も、ドラマ全体のコミカルな雰囲気をさらに強調し、視聴者の心を掴む要素の一つとなりました。

また、性的な話題を取り扱う場面では、大人が真面目な顔で青少年の疑問や悩みに答えるという設定が用いられています。一見すると真面目な解説のように見えますが、そこに用いられる言葉選びや表現方法が、かえってユーモラスで、若者たちの共感を呼びました。

キャストと主題歌の大ヒット

『毎度おさわがせします』は、主要キャストも大きな話題となりました。森のどか役でデビューした中山美穂は一躍トップアイドルとなり、他のキャストも人気を博しました。また、C-C-Bが歌う主題歌「Romanticが止まらない」も大ヒットを記録し、ドラマの人気上昇に大きく貢献しました。

続くシリーズとその後

パート1の成功を受けて、パート2はほぼ同じキャストで制作され、大晦日にも通常放送されるという珍しい編成が採用されました。パート3ではキャストが一新され、新たな物語が展開されます。このドラマの作風や手法は、後の『毎度ゴメンなさぁい』『毎度おジャマしまぁす』といった作品、そして1999年から放送された昼ドラマ『キッズ・ウォー』シリーズにも受け継がれ、その影響は大きかったと言えるでしょう。

1987年には、後に『ポケットモンスター』のキャラクターデザイナーを務める杉森建氏によるコミカライズ作品『新・毎度おさわがせします』も発売され、幅広い層にドラマの世界観が浸透しました。

『毎度おさわがせします』は、単なる青春ドラマにとどまらず、性教育や社会問題を軽妙なタッチで描いた、時代を反映した作品として、日本のテレビドラマ史に大きな足跡を残しました。

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