毛利敏彦

毛利敏彦: 日本近代史に新風をもたらした歴史学者

毛利敏彦（もうり としひこ、1932年12月1日 - 2016年3月12日）は、日本の近代史を専門とする著名な歴史学者である。彼は大阪市立大学名誉教授として名を馳せ、また明治維新史学会の顧問も務めた。主な研究分野は政治史や外交史であり、特に明治維新に関する研究においては、その業績は高く評価されている。

生い立ちと経歴

千葉県千葉市に生まれた毛利は、1956年に九州大学法学部を卒業した。続いて1970年には、九州大学大学院法学研究科の博士課程を修了し、"明治維新政治史序説"により法学博士を取得した。以降、九州工業大学助教授、大阪市立大学の教授を経て、1996年に定年退官し名誉教授となった。その後、広島市立大学の国際学部長を務め、2003年に退職した。

誕生日から勘案するに、毛利は遵法の精神を持ち、サポートを受けて研究活動を続けた。そして、彼の家系には維新の十傑の一人である江藤新平との縁戚関係もあり、彼の歴史研究に少なからず影響を与えたに違いない。残念ながら、毛利は2016年に腎不全により83歳でこの世を去った。

研究業績

毛利は多くの著作を上梓しているが、中でも彼の代表的な著書には『明治維新政治史序説』や『大久保利通 維新前夜の群像5』、さらには『明治六年政変の研究』などが挙げられる。彼の研究は、明治六年政変を巡る従来の見解に対して鋭い批判を加えている。

特に、毛利は明治六年政変が往々にして外交政策の対立から生じたとされる見解に異議を唱え、実際には長州派の汚職問題が大きな要因と考えられると主張した。彼の見解によれば、政変は山縣有朋を中心とする一派の妨害行為であり、木戸孝允や伊藤博文を中心とした長州派が政権を守るために土佐・肥前派を排除する意図が垣間見える。

また、西郷隆盛が朝鮮出兵を主張しなかった事実を挙げ、むしろ道義外交を重視していたとし、彼の研究をより一層複雑に展開させた。江藤新平を首謀者とする佐賀戦争についても、大久保利通が仕掛けた謀略であるとする彼の解釈は、従来の解釈を覆すものであり、歴史学界に新しい視点を提供した。

さらに、毛利の学説は「内治派」と「外征派」という二項対立にとどまらない研究の進展を促し、留守政府についての理解を深める端緒となった。このため、彼の業績は日本の歴史学において重要な位置を占めるようになり、様々な学者たちとの論争を通じて、史料解釈の新たな側面が明らかにされていった。

まとめ

毛利敏彦の研究業績は、日本近代史に関する理解を深めただけでなく、歴史学の方法論においても新たな地平を切り拓くものであった。彼の考察や著作は、現在でも多くの歴史学者に影響を与え続けており、その功績は色あせることなく後世に受け継がれている。

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