明治六年政変

明治六年政変（めいじろくねんせいへん）

明治六年政変は、1873年に発生した日本の政情の大きな動きです。この政変では、西郷隆盛を筆頭に、参議の多くが職を辞し、さらに約600人の軍人や官僚も同様に辞職しました。この背景には、当時の朝鮮との関係を巡る政策論争、特に征韓論の立場を巡る意見対立がありました。そのため、この政変は征韓論政変とも呼ばれています。

背景

日朝関係の緊張

明治維新を経て、天皇が中央に復帰した日本は、国際的な地位を確立しようと努力を重ねました。1868年、日本は朝鮮に対して自国の新たな立場を宣言する文書を送りますが、これが朝鮮側で受け入れられませんでした。この事態は日朝関係の冷却を引き起こし、清国との関係修復を試みた結果、再び上下関係が意識されるようになって、関係は一層悪化しました。

この時期、朝鮮では儒教を重んじる興宣大院君の復活があったことで、日本との関係を断つべきとの声が高まりました。こうした国際的な緊張が、政変の背景に影を落としていたのです。

留守政府の成立と政策

明治4年に太政官の組織が改編され、留守政府が設立されました。留守政府は内政に専念する一方で、外交政策では朝鮮への使節派遣に関する議論が進む中で、内治優先を訴える大久保利通派と、外征を主張する西郷派との間に対立が生じていきます。

この時、多くの省庁からは内政改革が強く求められ、学制の整備や士族の待遇問題が進められました。また、台湾征討を目指す意見もあったため、まさに内外が混乱を極めていました。

政変の経緯

両派の対立

1873年に入ると、内政を巡る議論はより激化していきました。特に予算案を巡って、大蔵省と他の官庁の摩擦が顕著になり、政府内部の混乱が常態化しました。この状況の中で、早期帰国の命令が西郷隆盛らに下され、一層事態が逼迫していきます。新たな参議が大蔵省に反対する人物たちで構成されたことで、井上馨は権力を強化しようと試みるも失敗し、辞任に追い込まれました。

一方、西郷が朝鮮への使者派遣を強く主張したことで、朝鮮問題に関しても決定は先延ばしにされ続けました。最終的に、閣議の席で西郷が派遣を決定しようとした途端に、岩倉具視が代理大臣として就任したことが政変の引き金となります。

辞任の波及

10月の中旬、三条が病を患い、政府内の人事が混乱します。その中で、各派閥が集団で辞表を提出する事態となり、特に西郷隆盛や板垣退助らが辞職したことは、政局に大きな影響を与えました。この結果、政府の構成が大きく変わることとなり、大久保の影響力が強まる一方で、征韓派の影は薄れていきました。

影響

大久保利通は、参議として復帰した後に内務省を設立し、実質的な権力を強化する方向に進みます。この政変を通じて、彼は権力を掌握し、さらなる中央集権体制を進めました。一方、西郷派を中心とする士族の不満は蓄積され、それが後の士族反乱や自由民権運動への布石となりました。

結論

明治六年政変は、従来の政府体制に大きな変化をもたらし、日本の内政・外交政策に影響を及ぼす結果となりました。また、この政変を通じて、天皇と政府の関係が新たに形作られ、主権の所在が問い直されることとなりました。これによって、日本の政治構造は変化し続けるのです。

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