毛吹草

毛吹草（けふきぐさ）

『毛吹草』は、江戸時代初期に編纂された俳諧論書であり、俳諧の世界に大きな影響を与えた作品です。

概要

編者: 松江重頼（まつえ しげより）
刊行年: 正保元年（1645年）
巻数: 7巻5冊

『毛吹草』は、貞門派の俳論の基本文献として重要な位置を占めています。野々口立圃の『はなひ草』に対抗する形で、俳諧作者のための作法書として企画されました。

序文には寛永15年（1638年）とありますが、実際には寛永16年（1639年）以降の句が約1000句収録されていることから、『毛吹草』の成立は寛永20年（1643年）以降と推定されています。

内容

『毛吹草』は、俳諧の作法や季語、名物などを幅広く網羅した内容となっています。

巻1:
連歌と俳諧の差異（30項目）
望ましい句の表現（「心の句」「眺望」「見立て」など35項目）
巻2:
四季と恋の詞を俳諧と連歌に分けて収録
「世話」「古語」として様々な俚諺を収録
巻3: 俳諧の付合語をいろは順に配列
巻4: 諸国名物を国別に配列
巻5-巻6: 春夏秋冬の発句を収録
巻7: 四季・恋・雑の付句100句をそれぞれ収録

評価と影響

刊行後、池田正式や安原貞室、加藤雲堂らによって批判も受けましたが、俳諧作法書として、また当時の百科事典的な役割も果たし、広く好評を博しました。

有名なことわざである「鬼に金棒」は、『毛吹草』が初出であるとされています。

校訂本

松江重頼編輯・新村出校閲・竹内若校訂『毛吹草』岩波文庫、1943年、ISBN 4-00-302001-4

脚注

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