民主文学

民主文学（みんしゅぶんがく）

概要

『民主文学』は、日本民主主義文学会が発行する月刊の文芸雑誌です。1965年に日本民主主義文学同盟（現在の日本民主主義文学会）が発足したのと時を同じくして、その年の12月号として創刊されました。以来、毎月欠かさず刊行を続け、民主主義文学の創作活動や批評を行う上での重要な拠点となっています。創刊当初は新日本出版社が発行元を務めていましたが、1993年からは現在の日本民主主義文学会自身が発行を担っています。この雑誌は、日本民主主義文学会の会員および準会員に対して個別に配布されており、購読料は会費の一部に含まれる形で賄われています。

民主文学新人賞

新たな文学的才能を発掘し、育成することを目的として、1995年に「民主文学新人賞」が創設されました。第1回（1995年）から第10回（2013年）までは隔年での開催でしたが、第11回（2014年）以降は毎年開催されるようになりました。この賞の受賞作品、および佳作に選ばれた作品は、すべて『民主文学』誌上に掲載されます。

以下に、これまでの受賞者一覧を記載します。

第1回（1995年）: 佐田暢子「夕映えに立つ」
第2回（1997年）: 旭爪あかね「冷たい夏」
第3回（1999年）: 該当者なし
第4回（2001年）: 渥美二郎「ゴール・タッチ」
第5回（2003年）: 横田昌則「夜、やがて朝」
第6回（2005年）: 秋元いずみ「銀の鳥」
第7回（2007年）: かなれ佳織「回転釜はラルゴで」
第8回（2009年）: 該当者なし
第9回（2011年）: たなかもとじ「顔」
第10回（2013年）: 笹本敦史「ユニオン!」
第11回（2014年）: 竹内七奈「せつなげな手」
第12回（2015年）: 木曽ひかる「月明りの公園で」
第13回（2016年）: 岩崎明日香「角煮とマルクス」
第14回（2017年）: 該当者なし
第15回（2018年）: 田本真啓「バードウォッチング」
第16回（2019年）: 秋吉知弘「まんまんちゃん」
第17回（2020年）: 宮越信久「孤高の人」
第18回（2021年）: 杉山成子「誰もこの涙に気づかない」
第19回（2022年）: 上村ユタカ「なに食べたい？」
第20回（2023年）: 清水春衣「Jの子」
第21回（2024年）: 該当者なし
第22回（2025年）: 齊藤航希「タキオンのころ」

支部誌・同人誌との関わり

日本民主主義文学会は全国に支部を持つ組織であることから、『民主文学』誌は創刊当初から、全国各地で活動する支部や同人誌、さらには労働組合などのサークルが発行する雑誌に掲載された作品を取り上げ、批評するコーナーを毎号設けています（以前は「サークル誌評」という名称でした）。

さらに1971年からは、「支部誌・同人誌推薦作」という年間企画を実施しています。これは、その年に刊行された支部誌や同人誌から推薦された作品を対象に選考を行い、特に優れた作品をいくつか『民主文学』誌上に再録するという取り組みです。この企画において優秀な作品を輩出した支部や同人には表彰が行われます。この企画の発表は、毎年12月号（11月初旬に発売）で行われています。

月刊文芸雑誌として同人誌の批評を継続して掲載している点は、現代において特に貴重な役割を果たしています。これは、かつて『文学界』（文藝春秋発行）が2008年限りで同人雑誌評から撤退し、その後を引き継いだ『三田文学』が季刊誌であることからも、その重要性が際立っています。

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