日本民主主義文学会

日本民主主義文学会について

日本民主主義文学会は、主に日本共産党系の文学者による職能団体で、全国の文学愛好者にも参加を呼びかける組織です。この会は、会員（同盟員）と準会員（準同盟員）の二つの段階の組織構造を持ち、文学者としての資質を重視しています。このため、会に参加するには、一定の基準が設けられています。会員や準会員は、隔年で開催される大会に参加したり、機関誌『民主文学』に作品を掲載することができますが、会議における議決権は会員のみに限定されています。準会員から会員に昇格する際には、常任幹事会による審査が行われます。

組織の活動

会員や準会員は各地に支部を設立し、地域に根ざした文学活動を展開しています。また、支部で発表された作品は、『民主文学』に転載されることもあり、この機会を通じて準会員が会員に昇格するケースも少なくありません。さらに、この団体は平和と民主主義の推進を活動方針の一環として掲げており、原水爆禁止日本協議会などの社会運動や平和運動に積極的に参加しています。文化や社会に関する声明文の発表も行い、他の文化団体との連携を図るために文化団体連絡会議（文団連）の幹事団体としての役割も果たしています。

最近では、文学フリマなどの同人誌即売会に参加する事例も見られ、幅広い文化活動を推進しています。2023年時点で、日本民主主義文学会には会員が403名、準会員が755名、そして全国に108の支部があります。特に、谷本論の「社会主義リアリズムとは何だったのか」という論考が『民主文学』に掲載されたことで、第10回手塚英孝賞を受賞するなど、近年の成果として注目されています。

歴史的背景

日本民主主義文学会は、戦後の日本における文学運動の中で多くの変化を経てきました。戦前のプロレタリア文学が弾圧を受け壊滅した後、1945年に蔵原惟人や中野重治、宮本百合子らによって設立された新日本文学会がその基盤となりました。この新日本文学会は、平和と民主主義を基盤とした文学運動を展開し、労働者や農民から新たな文学の創作者を育てることを目指しました。しかし、1960年代初頭には、安保闘争や日本共産党の政策に対する意見の対立が生じ、1965年に不満を持つ幹事たちによって日本民主主義文学同盟が結成され、その後、日本民主主義文学会への改名に至りました。

重要な出来事

特筆すべきは、1983年の『民主文学』4月号が日本共産党中央機関紙『赤旗』から広告掲載を拒否された事件です。この出来事は、同盟内部での意見の対立を生むこととなり、その後の幹事会においても指導的立場の変化が見られました。最終的には、脱退した幹事たちによって新たな雑誌『葦牙』が発刊されるまでに至りました。

日本民主主義文学会は、他の文学団体や文化団体との連携を通じて、文学の発展に寄与しつつ、平和と民主主義の理念を広める活動を続けています。

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