民政総署大楼

マカオ歴史地区のシンボル：民政総署大楼

マカオ特別行政区の中心部に位置する民政総署大楼は、単なる行政機関の建物ではなく、マカオの歴史と文化を凝縮した象徴的な建造物です。その歴史は古く、16世紀後半にまで遡ります。ポルトガル人がマカオに自治制度を敷いた際に、明朝の役人との交渉の場として使われていた建物を改築し、議事堂として新たなレンガ造りの建物が建設されました。これが現在の民政総署大楼の起源です。

当初の建物は中国風の庭園を備えた簡素なものでしたが、18世紀後半にはバロック様式の2階建て建物に建て替えられました。その後、度重なる台風被害による改修を経て、19世紀後半には新古典主義様式を取り入れた現在の姿へと変貌を遂げました。1940年頃には大規模な改修工事が行われ、現在の美しい外観が完成しました。

長い歴史の中で、民政総署大楼はマカオ行政の中枢として重要な役割を果たしてきました。ポルトガル統治時代には、市役所（市政廳大樓）として、そしてポルトガル語で「Leal Senado（忠順なる議会）」と呼ばれ、市民生活の中心にありました。民政総署大楼前の広場は、この「Leal Senado」に由来して「セナド広場」と呼ばれ、現在もマカオを代表する観光名所となっています。

2002年、澳門市の廃止に伴い、新たに設置された民政総署の本部庁舎となりました。歴史的建造物としての価値を高く評価され、2005年にはユネスコの世界遺産「マカオ歴史地区」の構成資産として登録されました。

民政総署大楼の建築様式は、バロック様式と新古典主義様式が見事に融合した独特のものです。洗練されたデザインと重厚な石造りの外観は、マカオの歴史と文化を雄弁に物語っています。建物内部も、歴史的価値の高い装飾が施されており、訪れる人々を魅了します。

現在も現役の行政機関として使用されている民政総署大楼ですが、その歴史的価値は高く評価されており、マカオ市民にとって重要なランドマークとなっています。建物の前には常に多くの観光客が訪れ、写真撮影や見学を楽しむ様子が見られます。

民政総署大楼は、単なる建物ではなく、マカオの歴史と文化を体現する貴重な遺産です。その美しい姿は、未来へと受け継がれ、マカオのアイデンティティを象徴し続けるでしょう。訪れた際には、その歴史と建築美に思いを馳せ、マカオの歴史に触れてみてください。 歴史的な建造物としての価値だけでなく、現在も行政の中枢として機能している点も、民政総署大楼の魅力の一つです。マカオを訪れた際は、ぜひこの歴史的建造物を訪れて、その壮麗な姿と歴史に思いをはせてみてください。

参考文献：内藤陽介『マカオ紀行 ― 世界遺産と歴史を歩く』2011年、彩流社

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