内藤陽介

内藤陽介氏(1967年生まれ)は、日本の郵便学者、作家として知られています。その活動は多岐にわたり、学術研究、著作活動にとどまらず、企業顧問や公益法人の要職にも携わっています。

学術的なバックグラウンドとしては、東京大学文学部卒業後、同大学院人文科学研究科修士課程を修了。その後、博士課程を退学し、東京大学文学部イスラム学専修課程助手として教鞭を執りました。2004年には東京大学を退官し、財団法人切手の博物館副館長に就任。その後、財団法人日本郵趣協会理事、特定非営利活動法人日本郵便文化振興機構代表理事などを歴任し、現在もこれらの要職に就いています。さらに、フジホールディングス顧問としても活躍しています。

内藤氏の専門は郵便学です。これは、切手などの郵便資料を通じて、国家や地域のあり方、歴史、社会構造などを多角的に分析する学問分野です。国際的な視野も持ち合わせ、全日本切手展審査員、アジア郵趣連盟及び国際郵趣連盟国際切手展審査員を務めるなど、その専門性は国際的にも高く評価されています。成城大学などでも非常勤講師として後進の育成にも尽力しています。

内藤氏のもう一つの顔は作家です。多様なテーマを切手に関連付けるユニークな視点で、数々の著作を発表しています。その著作は、歴史、政治、社会、文化など幅広い分野に及び、切手という身近な素材から、深い洞察と考察に基づいた独自の視点を読者に提供しています。

主な著書として、『それは終戦からはじまった ― 新視点からみた戦後史』、『切手が語る香港の歴史　スタンプ・メディアと植民地』、『マオの肖像 ― 毛沢東切手で読み解く現代中国』など、戦後史や中国、香港などの歴史を切手の観点から分析した著作が挙げられます。また、『外国切手に描かれた日本』、『切手と戦争 ― もうひとつの昭和戦史』のような、日本と世界の関わりを切手を通じて考察した作品も多数あります。さらに、『反米の世界史 ―「郵便学」が切り込む』、『皇室切手』、『これが戦争だ! ― 切手で読み解く』など、多角的な視点からの著作は、専門家だけでなく一般読者にも広く支持されています。

近年では、『大統領になりそこなった男たち』、『事情のある国の切手ほど面白い』、『年賀状の戦後史』など、より幅広い読者層をターゲットにした著作も発表しています。また、『アウシュヴィッツの手紙』、『チェ・ゲバラとキューバ革命』、『パレスチナ現代史　岩のドームの郵便学』といった、歴史上の重要な出来事を切手を通して読み解いた著作も注目を集めています。 さらに、シリーズ出版として『解説・戦後記念切手シリーズ』、『切手紀行シリーズ』、『切手でたどる郵便創業150年の歴史』などを発表しており、その著作活動は多岐にわたる、まさに郵便学の第一人者と言えるでしょう。これらの著作を通じて、切手という小さな媒体が持つ、歴史や社会を読み解くための大きな可能性を示しています。

内藤陽介氏は、学術研究、著作活動、そして社会貢献と、多様な活動を精力的に展開しています。その活動の中心には、常に切手への深い愛情と、それを通じて社会や歴史を解き明かしたいという強い意志が感じられます。これからも、郵便学の視点から、新たな知見を私たちに提示してくれることでしょう。

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