水の中の八月 (映画)

『水の中の八月』

『水の中の八月』は、1995年9月9日に公開された日本の映画であり、神秘主義的なファンタジーがテーマです。本作は、監督・脚本を手がけた石井聰亙が、彼の故郷である福岡を舞台にした初の長編作品となります。これまで東京を主な舞台にしてきた彼が故郷で作品を作り上げるという点で、特別な意味を持つ映画です。

映画は、1993年に発表されたオムニバスドラマ『TOKYO BLOOD』の一篇、"HEART OF STONE"で触れられた自然との交感というテーマに基づいています。福岡市の全面的な協力のもと、全編が博多で撮影され、全国に先駆けて福岡県での先行公開が実現しました。主演を務めた小嶺麗奈はモデル出身であり、本作が彼女の映画デビュー作として大きな注目を集めました。特に高飛び込みのシーンでは、全て自ら演じている点が評価されています。

撮影には主に16ミリカメラが使用され、一部のシーンではHi-8カメラの映像も取り入れられました。このような多様な撮影手法が、作品の独特の雰囲気を醸し出しています。1996年にはイメージファクトリーアイエムからVHS版が発売され、2009年にはトランスフォーマーによりDVD版もリリースされました。

物語では、ある年の夏に超新星が爆発するという事件が描かれています。高校生の真魚は、水族館で同じ学校の後輩である高飛び込み選手の泉がイルカの水槽に飛び込む姿を目の当たりにします。二人はその後、親しい友人関係を築いていきますが、同時に世間では未知の病「石化病」が急速に広がり、多くの人々が倒れていきます。

泉がユニバーシアードの全国大会で飛び込みに挑戦するものの、決勝での失敗により、彼女はプールに沈んでしまいます。真魚は彼女を救い出しますが、泉は重篤な状態に陥ります。そして、彼女は臨死体験から目覚めた際に、性格が一変し、自然と交感できる能力を持つようになったと主張します。夢遊病のように遺跡を彷徨う泉を心配する真魚は、次第に彼女の状況に対して無力感を抱くようになります。

泉は自分が生き返った理由を「この世界を救うため」と悟りますが、最終的に彼女は真魚を無視して夜の川へ飛び込みます。すると、不思議なことに「石化病」は消え去るのです。真魚はこの奇跡を研究するために考古学者となり、泉がもたらした不思議な出来事に一生を捧げることを決意します。

『水の中の八月』は、幻想と現実が交錯する神秘的な物語であり、視聴者に深い感動を与える作品です。

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