水の江瀧子

水の江 瀧子の軌跡

水の江 瀧子（みずのえ たきこ、1915年2月20日 - 2009年11月16日）は、日本の女性タレント、映画プロデューサー、そして女優として広く知られています。彼女はニューウェーブの日本映画界において、特に熱い名声を持つ存在でした。戦前のレビュー界で活動し、その後戦後の映画業界で初の女性プロデューサーとしての地位を築いた彼女の人生は、決して単純ではありませんでした。

1. 初期の経歴と松竹への入団

水の江瀧子は、北海道の小樽で生まれ、8人兄弟の中で育ちました。幼少期には、活発な女の子でしたが、1928年、東京松竹楽劇部の第1期生として入団することとなります。入団当初、彼女の芸名は「東路道代」でしたが、別の生徒との名刻交換により「水の江たき子」に改名され、最終的に「水の江瀧子」と定着しました。

彼女は1930年代から40年代にかけて「男装の麗人」「ターキー」として国民的な人気を博し、特に男性役を演じることから、女性の枠を超えた存在感を示しました。松竹の初舞台で、彼女は斬新な男役スタイルを確立し、そのスタイルは後に多くの女性たちに模倣されることになります。

2. 劇団設立と映画への進出

1942年に松竹を退団した後は、自ら劇団を立ち上げ興行を行います。その後、1955年には日活と契約し、映画プロデューサーとしての道を歩み始めました。彼女は日本初の女性映画プロデューサーとして、数々の映画を手掛け、多くの若手俳優を発掘・育成するなど日本の映画界に多大な影響を与えました。

3. 映画「太陽の季節」と「狂った果実」

彼女がプロデューサーとして初めて手がけた映画は『初恋カナリヤ娘』で、喜劇が高く評価されました。その後、彼女は石原慎太郎の小説を基にした映画『太陽の季節』を製作し、さらにその成功により石原裕次郎を大スターに育てました。また、次作『狂った果実』が日本国内外でのヒットとなり、特にフランスでのヌーヴェルヴァーグに影響を与えたとの評価もされています。

4. プロデューサーとしての影響力

水の江瀧子は、新たな才能を見出し、彼らを輝かせることに情熱を注いでいました。彼女が抜擢した俳優たちは数多く、それぞれが自身のキャリアを持つまでの道を切り開いていきました。日活におけるプロデューサーとしての活躍は、彼女を一躍映画界の巨星とさせました。

5. 引退と晩年

しかし、1984年に甥の事件が報じられると、メディアに騒がれ、彼女もその影響を受けることとなります。このスキャンダルによって、徐々に活動を縮小し、最終的には芸能界から引退。以後は隠居し、宝飾デザインに携わりながら生涯を過ごしました。

彼女の94年の生涯は、演技、プロデューサーとしての活動、そしてスキャンダルや引退を乗り越えるという波乱に満ちたものでした。水の江瀧子はただの女優ではなく、日本の芸能界に多大な影響を与えた先駆者として、今もなお人々に記憶され続けています。

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