水中処分母船1号型

水中処分母船1号型について

水中処分母船1号型（すいちゅうしょぶんぼせん1ごうがた）は、英語でYDT-01 class diving tendersと呼ばれ、海上自衛隊が運用する潜水作業支援船です。この船級は支援船第2種に分類されており、標準的な船のサイズとしては300トン型の水中処分母船に設計されています。彼らの計画番号はJ-166であり、特に自衛艦としては機能しない独自の設計となっています。

来歴

旧来から、水中処分隊（EOD）に関する作業支援や輸送には退役した掃海艇を改造した特務船（YAS）が利用されていました。しかし、これらの特務船は経年劣化が進んでおり、改造に伴い設備や配置において不都合な点が多々指摘されるようになりました。このため、より効率的で機能的な設計を求める声が高まり、1998年に新しい船種の建造が認められ、水中処分母船1号型の設計が開始されました。1番船および2番船は1999年の6月に起工され、以来、この新たな船型の運用が始まっています。

設計

水中処分母船1号型は、掃海艇に似た長船首楼型の角型船体を持っています。従来の特務船よりも高い速度が要求され、船体の設計において方形係数（Cb）が小さくなっています。船体は縦肋骨方式で構成され、建材には軟鋼が使用されています。また、日本海事協会（ClassNK）の鋼船規則CS編が参考にされています。

上甲板には強力甲板や隔壁甲板が配されており、船楼甲板および船橋甲板は水はけを良くするためにキャンバーが設けられています。居住空間は、船長室や士官寝室が船楼甲板に、科員居住区は第2甲板に設置されており、使用される寝台は2段ベッドとなっています。乗員と水中処分員は居住区を共用しています。

船尾甲板は作業甲板として設計されており、そこには潜水員用の昇降機が装備されています。また、作業甲板の直前にはEOD支援室が設けられ、従来の特務船に存在していた整備区画や機器洗浄区画が集約されています。これにより、作業区画や洗身・洗浄区画、乾燥区画、ボンベ充填区画の4つのエリアが分けられ、減圧症に対応するための再圧タンクも設置されています。作業甲板の後部には気蓄器や器材用棚の収納スペースも用意されています。

船の機動性を支えるために、主機関として新潟原動機製の6気筒ディーゼルエンジンが2基搭載され、固定ピッチ式のスクリュープロペラが2軸を駆動します。また、出力120キロワットのディーゼル発電機も2基装備されており、そのうち1基はバックアップ用として機能します。さらに機械室内には温水ボイラーが設置されており、水中処分の支援や乗員の生活に必要な給水を行う役割を果たしています。

このように、水中処分母船1号型は新しい技術と設計理念を用いて、海上自衛隊の潜水作業支援に特化した船をつくり上げています。これにより、従来の特務船に比べて性能や効率の向上が実現されています。

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