水中処分隊

海上自衛隊 水中処分隊：海の安全を守る精鋭部隊

海上自衛隊の水中処分隊（Explosive Ordnance Disposal Unit, EOD）は、沿岸海域における安全確保のため、高度な専門性と技術を有する重要な部隊です。彼らは、機雷や不発弾といった危険物の探知・処分から、水中機材の調査、そして災害時の救助活動まで、幅広い任務を遂行しています。

水中処分隊の任務

水中処分隊の主な任務は以下の通りです。

危険物の探知・処分: 海底に沈んだ機雷や不発弾など、航行の安全を脅かす危険物を特定し、安全に処分します。これは、高度な知識と技術、そして冷静な判断力が求められる極めて危険な作業です。
水中機材の調査: 海中に没した機材の調査や回収を行います。事故や事件に関連する機材の調査など、その任務は多岐にわたります。
災害派遣: 地震や水害などの災害時には、行方不明者の捜索や、孤立した住民の救助活動を行います。特に水辺での活動においては、その専門知識と技術が不可欠です。
艦艇に対する潜水作業: 艦艇のメンテナンスや修理に必要な潜水作業も担当します。

水中処分隊の歴史

水中処分隊の歴史は、第二次世界大戦後の機雷掃討の必要性から始まりました。感応機雷の普及により、従来の掃海艇による掃海だけでなく、直接機雷を探知・処分する機雷掃討の重要性が高まりました。

1. 創設期: 1954年5月、横須賀基地でアクアラングによる潜水訓練が開始。1961年3月、横須賀地方隊に初の水中処分隊が編成されました。
2. 全国展開: 1967年10月に呉、1977年12月には佐世保・舞鶴・大湊、沖縄に水中処分隊が配備され、全国的な展開が進みました。
3. 全日空羽田沖墜落事故: 1966年2月4日に発生した全日空羽田沖墜落事故では、水中処分隊が機体の確認と遺体収容を行い、その存在が広く知られるようになりました。
4. 掃海隊群との連携: 2008年3月26日、海上自衛隊体制移行に伴い、掃海隊群司令が地方隊掃海隊及び地方隊水中処分隊の水中処分班に対しても練度管理統括者として部隊を育成することになりました。

現在、水中処分隊は、横須賀、呉、佐世保、舞鶴、大湊、沖縄の各地方隊に配備されています。

水中処分隊と掃海隊の違い

掃海艇にも水中処分員が乗り組んでいますが、水中処分隊は平時における機雷以外の水中爆破物対処や水中処分員・潜水員の訓練支援を主眼としています。対機雷戦に水中処分母船が投入されることはありません。

主な出来事

1961年（昭和36年）3月：横須賀水中処分隊が新編。
1965年（昭和40年）8月：第2掃海隊群司令部水中処分班が新編。
1967年（昭和42年）10月：呉水中処分隊が新編。
1969年（昭和44年）3月：第1術科学校に水中処分課程が開講。
1977年（昭和52年）12月：佐世保、舞鶴、大湊、沖縄の各水中処分隊が新編。
1999年（平成11年）9月：横須賀水中処分隊が防衛庁長官から第1級賞状を授与。
2001年（平成13年）7月：横須賀水中処分隊が内閣総理大臣表彰を受賞。

部隊編成

各水中処分隊は、それぞれの警備隊に所属し、水中処分母船を拠点として活動しています。

横須賀水中処分隊（横須賀警備隊）：水中処分母船3号
呉水中処分隊（呉警備隊）：水中処分母船4号
佐世保水中処分隊（佐世保警備隊）：水中処分母船5号
舞鶴水中処分隊（舞鶴警備隊）：水中処分母船1号
大湊水中処分隊（大湊警備隊）：水中処分母船2号
沖縄水中処分隊（沖縄基地隊）：水中処分母船6号

関連情報

水中処分員: 実際に水中処分を行う隊員。
* 水中処分母船1号型: 水中処分隊の母船として用いられる。

水中処分隊は、その高度な技術と献身的な活動によって、日本の海の安全を守り続けています。

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