水崎基一

水崎基一 (1871年 - 1937年)

水崎基一（みずさき もといち）は、日本の経済学者であり、教育者としての顔も持つ重要な歴史的人物である。彼は明治4年（1871年）11月10日に松本県で生まれ、同志社大学経済学部の教授および浅野綜合中学校（現在の浅野中学校・高等学校）初代校長を務めた。宗教的な背景としてもクリスチャンであり、教育界に多くの影響を与えた。

生い立ちと少年時代

水崎の少年期は、廃藩置県による混乱の中で育った。彼は父の影響を受け、経済や漢学を学び、1883年には旧制長野中学に進学。その後、静岡への転居を経て、文武館にて英語や数学を学んだ。静岡メソジスト教会に通い始め、1887年には洗礼を受け、信仰の道を歩み出すこととなる。

学びと同志社との関わり

1888年に同志社普通学校に入学し、新島襄からの指導を受け、多大な影響を受けることになる。1893年に同志社を卒業し、教誨師として北海道の樺戸集治監に赴任。彼は日本における監獄改良の先駆者となり、人道的視点から囚人の教育に取り組んだ。

官界から実業界へ

1896年には台湾総督府に通訳として勤務し、その後イギリスに留学して経済や歴史を学んだ。帰国後は、浅野総一郎が設立した東洋汽船に参加し、実業界への転身を果たした。1908年には同志社専門学校経済科教授に就任し、教育界に戻る。

同志社の再建と新たな教育の理念

水崎は同志社の再建に尽力し、1912年に同志社大学の設立が文部省から認可されることに大きく寄与した。彼は教育の改革を進め、社会の変化に応じた育成の必要性を訴え、活発に募金活動を行った。教育における「愛と和」の理念を掲げ、学生に対する深い愛情を持ち続けた。

浅野綜合中学校の創立

1918年、水崎は浅野総一郎に招かれ、浅野綜合中学校の初代校長に就任。ここでも彼は実学教育の重要性を訴え、教育制度の改革に取り組んだ。特に、ゲーリー・システムを取り入れ、幅広い知識と技能を兼ね備えた人材の育成に力を注いだ。

終焉と遺産

1937年に彼は亡くなるまで、教員としての職責を果たし続け、学校の復興に尽力した。水崎の育成指導理念は後世の教育にも影響を与え、彼の精神は現代でも引き継がれている。彼の墓は浅野総一郎と同志社の創設者新島襄の近くにあり、彼の教育理念を象徴する「愛と和」は今も変わらず、教育の原点として語り継がれている。

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