水星の太陽面通過 (海王星)

海王星における水星の太陽面通過

海王星から空を見上げたとき、水星が太陽の手前を通り過ぎる天文現象を「海王星における水星の太陽面通過」と呼びます。これは、海王星、水星、太陽がほぼ一直線に並び、水星が太陽面を小さな点として横切って見える現象です。

この太陽面通過は、他の惑星から観測される惑星の太陽面通過と比較して、群を抜いて発生頻度が高いという特徴があります。例えば、紀元前12万5千年から西暦12万5千年までの25万年間という長い期間で見ると、合計で76,531回も観測されると計算されています。これは、次に多い天王星から見た水星の太陽面通過の約7万4千回を上回る頻度です。

発生するタイミングには特徴的なパターンがあります。約77年間の空白期間を挟んで、数年間にわたって約3ヶ月ごとに比較的短い間隔で連続して発生する時期が訪れます。これは、海王星が非常にゆっくりと公転している間に、公転周期の短い水星が海王星と太陽を結ぶ直線を何度も横切るためです。連続して発生する期間の長さは時代によって変動しますが、現在から前後数千年間においては、およそ4年から7年間程度となっています。

直近では、1960年6月8日に発生しており、次回の観測機会は2037年11月20日と予測されています。この現象は非常に頻繁に起こるため、多くの発生日時が記録されていますが、ここでは詳細なリストは割愛します。

同時太陽面通過

海王星における水星の太陽面通過は、他の天体の太陽面通過と同時に発生することもあり、これらの現象は極めて稀なものとして知られています。

金星との同時太陽面通過

水星と金星が同時に太陽面を通過する現象も起こり得ますが、その頻度は非常に低いです。先の25万年間では28回のみの発生と計算されています。前回発生したのは紀元前24635年1月17日で、次回は西暦2865年12月19日に予測されています。水星と金星はどちらも太陽に近い軌道を持つため公転周期が短く、単独の太陽面通過は比較的頻繁に起こりますが、同時に起こることはやはり珍しい現象です。近年（ここ数千年）は比較的起こりやすい期間にありますが、それ以前は数万年間にわたって一度も発生しない時期もありました。

地球や月との同時太陽面通過

さらに稀な現象として、水星が太陽面を通過する際に、地球や月も同時に太陽面を通過することがあります。水星、地球、月の三つが同時に太陽面を通過する現象は、25万年間でわずか13回しかありません。前回は紀元前46782年8月20日、次回は西暦20814年6月18日に発生すると計算されています。

地球と水星のみが同時に太陽面を通過し、月は通過しないというケースも考えられます。これはさらに少なく、同じ25万年間で5回のみの発生です。前回は紀元前48344年2月12日、次回は122069年10月25日と予測されています。

また、月と水星のみが同時に太陽面を通過し、地球は通過しないというケースは、今回紹介する同時太陽面通過の中でも最も発生頻度が低く、25万年間で2回しか確認されていません。前回は紀元前68186年5月12日、次回は71033年2月23日に発生すると計算されています。

その他の天体との同時太陽面通過

火星や木星といった他の外惑星との同時太陽面通過も発生しますが、これらはさらに発生頻度が低くなります。

水星と火星の同時太陽面通過は、25万年間で8回発生します。前回は紀元前22826年1月16日でした。

水星と木星の同時太陽面通過はさらに稀で、同じ期間で3回のみです。次回は121410年5月14日に予測されています。

これらの他の天体との同時太陽面通過の発生記録を見ると、紀元前22826年1月16日の火星との同時通過から、次に発生が予測されている121410年5月14日の木星との同時通過まで、約15万年もの長い空白期間があることがわかります。

特殊な太陽面通過

太陽面通過の中には、特定の条件を満たすさらに特殊なケースも存在します。

太陽をかすめる太陽面通過

水星が太陽面の中心を通らず、その縁をごくわずかに通過していく「太陽をかすめる太陽面通過」も起こり得ます。これは一般的に稀な現象ですが、海王星から見る水星の太陽面通過自体の頻度が高いため、他の惑星での太陽面通過に比べて発生する可能性は相対的に高くなります。前回は紀元前514年6月14日、次回は西暦3603年1月24日に発生すると計算されています。

太陽の中心を通る太陽面通過

逆に、水星が太陽面のほぼ中心を通過する、すなわち中心角距離がほぼゼロとなる太陽面通過も発生します。前回は紀元前1913年9月20日、次回は西暦11015年1月11日に発生すると予測されています。

その他の興味深い現象

特定のタイミングで観測される太陽面通過も興味深い現象です。地球時間で元日の午前0時頃に最大食を迎えた太陽面通過としては、紀元前40933年のものや、通過開始自体は前年中にあった紀元前39370年の最大食があります。

また、太陽面のほぼ中心付近を通過した現象として、紀元前75679年1月9日に始まり翌日1月10日午前0時頃に中心を通過したものや、30034年4月1日に始まり同日正午頃に中心を通過したものが記録されています。

これらの計算は、天体の精密な位置計算に基づいたデータから得られています。

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