水永牧子

水永牧子（みずなが まきこ）は、1975年2月2日生まれの日本のチェンバロ奏者である。古楽演奏を専門とし、ソロ活動に加え、アンサンブルのメンバーとしても国内外で精力的に活動を展開している。その活動は演奏だけに留まらず、教育、楽器開発、さらには社会貢献プロジェクトに至るまで多岐にわたる。

学歴と研鑽

幼少期より桐朋学園子供のための音楽教室で音楽の基礎を築いた。その後、鷗友学園女子中学校・高等学校を経て、桐朋学園大学古楽器科に進学し、専門的な学びを深めた。卒業後、ドイツのフライブルク音楽大学大学院へ留学。同校ではチェンバロのソリストとしてドイツ国家・ソリストディプロマを取得するという、同校では初めての快挙を成し遂げている。チェンバロを鍋島元子、ロバート・ヒルに、オルガンを水野均、C.シュノールに、ピアノを坂井由紀子に、音楽理論を川又礼子、三瀬和朗らに師事し、幅広い視点から音楽への造詣を深めた。

演奏活動

2001年に東京で初のソロ・リサイタルを開催し、本格的な演奏キャリアをスタートさせた。その後も、東京オペラシティのリサイタルシリーズ「B→C」に出演するなど、主要なコンサートホールで演奏を披露している。教育分野にも積極的に関わっており、教育芸術社が手掛けた中学校音楽デジタル教科書（平成28年度用）にも演奏を提供している。

ユニークな取り組み

チェンバロ奏者としての活動と並行し、楽器開発にも協力している。ローランド社が開発した電子チェンバロ「C-30」では、開発段階から意見交換を行い、完成後のデモンストレーション演奏も担当した。また、高祖父の大島正健が札幌農学校第一期生としてウィリアム・スミス・クラーク博士に学んだという縁から、2004年に台風被害を受けた北海道大学ポプラ並木の再生プロジェクトに強い関心を示した。2006年には、再生されたポプラ材を使用して製作されたチェンバロのお披露目演奏を担当し、その取り組みは新聞各紙で大きく報道され、話題を呼んだ。

アンサンブル「ラ・フォンテーヌ」

1996年からは、古楽アンサンブル「ラ・フォンテーヌ」の中心メンバーとしても活動している。このアンサンブルと共に、ロンドンSBC音楽祭やヨーク古楽祭といった国際的な音楽祭に参加するなど、国内外で活発な演奏活動を行っている。また、NHKのテレビ番組『素敵にガーデニングライフ』のテーマ音楽の編曲と演奏も手がけるなど、メディアを通じた活動も展開している。

受賞歴

国際的なコンクールでの受賞歴も水永牧子のキャリアにおいて特筆される。

• - 1999年 モントリオール国際チェンバロ・コンクール第2位、現代曲最優秀賞受賞。
• - 第11回国際古楽コンクール《山梨》アンサンブル部門第2位（ラ・フォンテーヌとして）。
• - 2000年 ブルージュ国際コンクール アンサンブル部門第2位、聴衆賞受賞（ラ・フォンテーヌとして）。

ディスコグラフィー

数多くの録音を発表しており、ソロ、アクア・トリニティ、ラ・フォンテーヌとして様々なレーベルからCDをリリースしている。

• - ソロ:

- D. スカルラッティ・ソナタ集（アントレ）
- 夢見る雨（ビクター）
- イングリッシュ・ガーデン（ビクター）
- イングランド麗し～吟遊詩人の歌と変奏曲（浜松市楽器博物館）
- チェンバロおもちゃ箱（日本アコースティックレコーズ）
- ゴルトベルク変奏曲（レーベルPOOH'S HOOP）

• - アクア・トリニティ:

- 水の薫り（ミューズ・エンターテインメント）

• - ラ・フォンテーヌ:

- バロックの泉（アントレ）
- バロック・スピリット（アントレ）
- インサラータ（トライエム・クラシック）
- 華麗なるフランスバロック（レグルス・レーベル）
- ドイツバロックの精華（レグルス・レーベル）
- 栄光のイギリス音楽（レグルス・レーベル）

• - その他:

- ヴィルトゥオーゾ・オーボエ（アントレ） - 共演
- チェンバロDVDブック〜歴史と様式の系譜〜（久保田 彰 著） - 演奏参加

補足情報

高祖父大島正健がクラーク博士門下の伊藤一隆の妹と結婚したため、伊藤の玄孫にあたるタレントの中川翔子とは親戚関係にあることも知られている。

外部リンク

• - 水永牧子オフィシャルサイト
• - 水永牧子 公式ブログ

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