水盤 (建築)

水盤（Water feature）

水盤は、建築物に付随する浅い水面を指します。国土交通省の分類では修景施設とされ、景観を美しく整える役割を担っています。

概要

水盤は、景観を構成する上で様々な効果をもたらします。

修景効果: 周囲の景観を美しく見せる。
反射効果: 周辺環境を水面に反射させ、景観に奥行きと広がりを与える（リフレクティング・プール）。
空間の区切り: 視覚的な境界線を作り、空間を明確に区分する。
浮遊感の演出: 水面に浮かぶような、軽やかな印象を与える。
静寂性の演出: 静かな水面は、落ち着いた雰囲気をもたらす。

これらの効果に加え、水盤は実用的な機能も有しています。

断熱効果: 太陽光を反射し、建物内部の温度上昇を抑制する。
採光効果: 反射光を利用し、室内を明るくする。
冷却効果: 水が蒸発する際に周囲の熱を奪い、流入する風の温度を下げる。
水遊び場: 親水空間として、人々に涼と憩いを提供する。

水盤は、噴水と組み合わせてダイナミックな景観を創出したり、屋内に設置して空間のアクセントとするなど、多様なデザインが可能です。

注意点

水盤は、水面が浅く、周囲の風景を反射するため、視認性が低い場合があります。そのため、利用者が水盤の存在に気づかず、転倒や落水などの事故に繋がる危険性も指摘されています。特に、子供や高齢者が利用する場所では、水盤の周囲に柵を設けたり、注意喚起の表示を行うなど、安全対策を徹底する必要があります。

事例

インプルウィウム: 古代ローマの住宅様式ドムスにおいて、アトリウム（中庭）に設けられた雨水貯留用の水盤。

関連項目

* 水景物

水盤は、景観を豊かにするだけでなく、環境負荷の低減や人々の憩いの場としての役割も担う、多機能な建築要素です。設計においては、安全性に配慮しながら、その魅力を最大限に引き出すことが重要となります。

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