水神切兼光

水神切兼光について

水神切兼光（すいじんぎりかねみつ）は、南北朝時代に製作された日本刀であり、現在は大阪府茨木市に所在する株式会社ブレストシーブが収蔵しています。この刀は「重要美術品」に指定されており、日本の文化的な宝物とされています。

刀工・長船兼光について

本刀は、刀工・長船兼光によって作られました。長船派は備前地域で活躍していた一流の刀工集団であり、兼光はその4代目の重要な人物です。彼の初期の作品は、父である景光のスタイルを踏襲し、匂本位の肩落互の目や丁子刃が特徴でした。しかし、南北朝時代に入ると、彼は当時の人気刀工である相州正宗の影響を受け、作風を進化させました。その結果、地刃と沸が強調された、覇気のある美しい刀が生まれました。後に、相州伝を取り入れたスタイルは「相伝備前」として知られるようになります。

名前の由来

水神切兼光という名前には、上杉謙信や直江兼続に関する伝説が絡んでいます。この刀は直江兼続の所有物とされ、洪水を鎮めるために水神を斬ったという伝説に基いて名付けられたと考えられています。ただし、このエピソードの詳細や真偽には諸説あり、水神を実際に斬ったのではなく、この刀をかざして祈願したとの見解も存在します。上杉景勝は刀剣への愛着が深く、刀剣の鑑定に優れた人物であり、彼が選んだ名刀35腰の中にも水神切兼光があります。この経緯については諸説あり、元々景勝が所持していたものが兼続に下賜されたと推測されています。

明治維新以降

明治維新以降、この刀は米沢の上杉家に伝えられました。1937年には上杉憲章伯爵の名義で重要美術品に認定され、国宝指定の可能性もあったものの、上杉家がそれを辞退したため、重要美術品としての評価を受けることとなりました。2013年のオークションでは、3700万円という高額で落札され、その出来事は当時の刀剣市場においても注目されました。落札を含め、今では日本刀剣博物技術研究財団によって管理されています。

作風

水神切兼光の刀身は、刃長が69.6センチメートルで、平造りの形状が特徴です。その棠は庵棠型であり、佩表には梵字が、佩裏には三鈷柄剣の彫刻があります。また鍛えは小板目で、美しい映りが見られます。刃文は中直刃で、小乱れが控えめに見られ、茎は生ぶ茎であり、良好な状態を保っています。「備前長船住兼光 康永二年十一月」と銘が切られていることから、製作年代も特定されています。

脚注・用語解説

作風や用語の理解には、刀剣春秋編集部の解説書が参考になります。日本刀は日本の歴史や文化の一部として、多くの人々に愛され続けています。水神切兼光もその一つであり、その背後には魅力的な歴史が詰まっています。

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