水色のページ

シングル「水色のページ」

「水色のページ」（みずいろのページ）は、日本の歌手、麻丘めぐみが1975年3月5日に発表した通算11枚目となるシングルレコードです。アイドルとして絶大な人気を博していた彼女が、そのキャリアの中盤に位置する時期に送り出した楽曲として知られています。

このシングルの表題曲「水色のページ」、そしてカップリングに収録された「風邪をひいた彼」は、いずれも豪華な制作陣によって生み出されました。作詞は、麻丘めぐみの代表曲の一つである「森を駈ける恋人たち」（1973年）を手掛けたことでも知られる山上路夫が担当しました。山上氏は、この「水色のページ」で約2年ぶりに麻丘のシングル作品に詞を提供しており、ヒットメーカーとして彼女との信頼関係を再び結びつけた形となりました。一方、作曲を手掛けたのは浜圭介です。浜氏はこれまで麻丘めぐみの楽曲には関わっていなかったため、このシングルが彼にとって初めての提供作品となりました。山上氏と浜氏という、当時の日本の音楽シーンを代表する二人の作家が組むことで、麻丘めぐみの音楽性に新たな一面が加わったと言えるでしょう。両楽曲のアレンジは、数多くのアイドル歌謡やヒット曲を手掛けたことで知られる馬飼野俊一が担当し、楽曲の世界観を彩る編曲を施しています。

シングル盤のジャケット写真もまた、ファンの間で語られることの多い特徴の一つです。ジャケットには、前髪を切り揃え、それを左右に分けるという独特なヘアスタイルの麻丘めぐみが写し出されています。この髪型は、後のシングル群、具体的には「恋のあやとり」から「白い微笑」にかけての期間に見られた、前髪を分けるスタイルとは異なる印象を与えるものでした。当時のアイドルにとって、髪型やファッションはイメージを大きく左右する重要な要素であり、この「水色のページ」のジャケットにおけるヘアスタイルも、一時期の麻丘めぐみのパブリックイメージを形作る上で特徴的なポイントとなりました。

このシングルに収録された「水色のページ」と「風邪をひいた彼」は、発売から時を経て、多くの音楽ファンに聴かれ続けています。それらの楽曲は、現在入手可能なベストアルバムやCDボックスセットにも収録されており、過去の音源を再リリースした作品を通して、後追いのファンや若い世代のリスナーも、当時のオリジナルシングルが持つ魅力を体験することができます。『麻丘めぐみBOX 72-77』や『GOLDEN☆BEST 麻丘めぐみ』といった代表的なコレクション作品に収められていることは、これらの楽曲が麻丘めぐみの活動において重要な位置を占めている証と言えるでしょう。

本シングルがリリースされた1975年は、日本の音楽シーンが多様化し、フォーク、ニューミュージック、ロック、そしてアイドル歌謡といった様々なジャンルが共存していた時代です。麻丘めぐみ自身も、この時期にはアイドルとしての円熟期を迎えつつあり、彼女の楽曲は当時の歌謡曲市場において確固たる存在感を示していました。「水色のページ」もまた、そんな1975年という時代の空気の中で生まれ、多くの人々に愛された一曲であり、当時の音楽文化を振り返る上でも価値のある作品と言えます。山上路夫と浜圭介による叙情的なメロディと詞、馬飼野俊一による洗練されたアレンジ、そして麻丘めぐみの透明感ある歌声が一体となり、この「水色のページ」は完成されました。

麻丘めぐみのキャリアにおける11枚目のシングルとして、また山上路夫と浜圭介という新たな組み合わせによる楽曲として、「水色のページ」は今なお多くのファンの記憶に残る一曲です。ジャケットに写る彼女の姿も含め、1970年代半ばの日本のアイドル文化を象徴する作品の一つと言えるでしょう。

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