水落潔

水落潔：古典演劇を彩る生涯

水落潔（みずおち きよし）氏は、1936年11月2日生まれの日本の古典演劇評論家です。そのキャリアは、毎日新聞記者としての活動から始まり、桜美林大学名誉教授としての教育活動、そして古典演劇界への多大な貢献へと広がっています。

毎日新聞時代と古典演劇との出会い

大阪に生まれた水落氏は、早稲田大学第一文学部演劇科を卒業後、1962年に毎日新聞社に入社しました。学芸部副部長を経て編集委員に就任、1970年からは歌舞伎と文楽の評論を担当しました。長年に渡る新聞記者としての経験は、氏の古典演劇への深い造詣を育む礎となりました。歌舞伎と文楽の現場を間近で見てきたからこそ得られる鋭い洞察と、綿密な取材に基づいた評論は、高い評価を受けました。1991年には、『上方歌舞伎』で芸術選奨新人賞を受賞。この受賞は、氏の卓越した評論能力を世に知らしめることとなりました。1996年に毎日新聞社を退社するまで、同紙において古典演劇評論の中心的な役割を担っていました。その後も客員編集委員として、新聞社との関わりを続けました。

教育者としての活動と古典演劇界への貢献

2000年、水落氏は桜美林大学教授に就任しました。教育者としての活動は、古典演劇研究の裾野を広げる上で重要な役割を果たしました。後進の育成に尽力する一方、2001年からは近松賞選考委員を務め、古典演劇界の重鎮としてその発展に貢献しました。2007年には、桜美林大学名誉教授の称号を得ています。

多彩な著作物

水落氏の著作物は、その専門性の高さ、そして分かりやすさで知られています。代表的な著書としては、『文楽 そのエンチクロペディ』、『江戸のキャリアウーマン 歌舞伎淑女録』、『江戸のシティーボーイ 歌舞伎紳士録』、『上方歌舞伎』、『平成歌舞伎俳優論』、『歌舞伎おもしろ百科』、『歌舞伎鑑賞辞典』、『演劇散歩』などがあります。これらの著作は、古典演劇への理解を深めるための貴重な資料となっています。単著だけでなく、松本幸四郎氏との共著『幸四郎の見果てぬ夢』、中村鴈治郎氏に関する聞き書き『鴈治郎芸談 中村鴈治郎 聞き書き』、高市順一郎氏との共編著『演劇と映像芸術の新詩学』など、共同作品にも積極的に携わっています。これらの活動を通して、水落氏は古典演劇研究の発展に大きく貢献しました。水落氏の論文は、国立情報学研究所のCiNiiからも閲覧可能です。

実兄山田庄一氏との関係

水落潔氏の実兄は、著名な経済学者である山田庄一氏です。兄弟間の知的な刺激や影響が、それぞれの分野における活躍に繋がったことは想像に難くありません。

まとめ

水落潔氏は、ジャーナリスト、教育者、そして古典演劇評論家として、多方面で活躍されました。その功績は、古典演劇研究の深化と発展に大きく貢献しており、現代においてもその影響は絶大です。氏の活動は、今後も古典演劇を愛する人々にとって、重要な指針となるでしょう。

もう一度検索