水酸化ストロンチウム

水酸化ストロンチウム：性質、合成、用途

水酸化ストロンチウム (Sr(OH)₂) は、ストロンチウムイオンと水酸化物イオンからなるイオン結晶です。水酸化カルシウムや水酸化バリウムと同様に、アルカリ土類金属の典型的な性質を示し、強塩基として分類されます。

性質

[水]]酸化ストロンチウムは、水への溶解度が低く、冷水よりも熱水に溶けやすいのが特徴です。これは、温度によって析出する固体の状態（八水和物や一水和物）が変化し、それによる溶解熱の差に起因します。具体的には、85℃以下では八水和物(Sr(OH)₂・8H₂O) 、85℃以上では一水和物(Sr(OH)₂・H₂O)が析出します。水酸化カルシウムよりも水に対する溶解度が大きく、塩基性もやや強いです。これはストロンチウムイオンのイオン半径]がカルシウムイオン(114 pm)よりも大きいためです。[[水酸化バリウムとは多くの点で類似した性質を示します。

水に溶解すると、ストロンチウムイオン(Sr²⁺)と水酸化物イオン(OH⁻)に電離します。この電離反応は吸熱反応であり、温度の上昇と共に平衡が生成物側に移動します。

水酸化ストロンチウムの第一段階および第二段階の塩基解離定数は、それぞれpKb₁=0.8、pKb₂=0.8と非常に大きいため、強塩基として扱われます。また、ストロンチウム塩水溶液の加水分解はほとんど無視できる程度です。

合成

[水]]酸化ストロンチウムは、酸化ストロンチウム]に[[水を反応させることで合成できます。この反応は、激しい水和熱を伴うため、取り扱いには注意が必要です。生石灰の消和反応よりも激しく危険を伴うとされています。

化学反応式は以下の通りです。


SrO + H₂O → Sr(OH)₂ ΔH° = -81.2 kJ mol⁻¹


また、塩化ストロンチウムや硝酸ストロンチウムなどの水溶液に、濃度の高い水酸化ナトリウム水溶液を加えることによっても合成できます。この方法では八水和物が析出します。

化学反応式は以下の通りです。


Sr(NO₃)₂(aq) + 2NaOH(aq) + 8H₂O(l) → Sr(OH)₂・8H₂O(s) + 2NaNO₃(aq)

用途

水酸化ストロンチウムは、ショ糖と反応して水に難溶性のサッカラート(C₁₂H₂₂O₁₁・2SrO)を生成するため、砂糖の精製に用いられます。

その他

市販されている水酸化ストロンチウムは、主に八水和物(Sr(OH)₂・8H₂O)で、1～2%の炭酸ストロンチウムを含んでいる場合が多いです。空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸ストロンチウムに変化しやすい性質があるため、密栓して保存する必要があります。また、無水物は375℃で融解しますが、さらに加熱すると脱水して酸化ストロンチウムになります。八水和物は、約100℃で脱水し一水和物になります。

もう一度検索