水酸化バリウム

水酸化バリウムについて

水酸化バリウム（すいさんかバリウム、Chemical Formula: Ba(OH)₂）は、強い塩基性を持つ無機化合物で、バリウムの水酸化物です。この化合物は、バリウムイオンと水酸化物イオンの結晶から構成され、粒状や粉末の形状で存在します。最も広く流通している形態は1水和物であり、その外観は白色の粉末です。

水酸化バリウムは生物にとって非常に有害であり、劇物に分類されています。このことから、取り扱いには慎重さが求められます。水酸化バリウムはバリタ（baryta）とも称され、飽和水溶液（バリタ水）は水酸化カルシウムに似ていて、二酸化炭素を導入すると炭酸バリウムを生成し濁る性質があります。

調製法

水酸化バリウムは、酸化バリウム（BaO）を水に溶かすことにより製造されます。製造過程では、再結晶を行うことで八水和物が得られます。これを空気中で加熱すると、1水和物が得られます。また、減圧条件下で100℃に加熱すると無水物が生成されますが、これらの反応は危険を伴うため、十分な注意が必要です。

```plaintext
BaO + H2O → Ba(OH)₂
```
反応に伴うエンタルピー変化は、ΔH° = -105.4 kJ/mol という値を示しています。

化学的性質

水酸化バリウムは水酸化カルシウムよりも脱水に対して安定な性質を持ち、無水物は408℃で熔融し、998℃では水蒸気の解離圧が1気圧に達します。無水物が水に溶解する際には、発熱反応が起こります。

水温が78℃以下の場合、析出する固体は八水和物であり、この八水和物の溶解反応は吸熱的です。そのため、温度が上昇することで溶解度が著しく増加します。また、0.05mol/dm³（0.1N）の水溶液では、約0.8の電離度を示し、強塩基として分類されます。

```plaintext
Ba(OH)₂(s) ⇌ Ba²⁺(aq) + 2OH⁻(aq)
```
この場合のエンタルピー変化はΔH° = -52.93 kJ/molです。水酸化バリウムの酸解離定数はpKa = 13.4であり、第二段階塩基解離定数はpKb₂ = 0.6となります。

用途

水酸化バリウムは分析化学で弱酸、特に有機酸の滴定に使用されます。この水溶液が透明であることは、炭酸塩が含まれていないことを示す重要な指標です。この性質を利用し、アルカリ性の指示薬を使用する際にも誤差なく滴定結果が得られます。また、有機合成プロセスにおいても、強塩基としてエステルやニトリルの加水分解に用いられます。

酸性の物質がこぼれた場合、水酸化バリウムを用いて中和し、危険性を軽減することができます。特定の化学合成プロセスにおいても利用されており、例えばウンデカンカルボン酸ジメチルエステルの一部を選択的に加水分解する反応に携わっています。

安全性と法規制

水酸化バリウムは、他の強塩基と同様に腐食性があり、有毒であるため、取り扱い時の注意が必要です。日本国内においては、毒物及び劇物取締法により劇物として分類され、様々な法令に遵守する必要があります。

本情報から、水酸化バリウムの特性、用途、そしてその注意点について情報を得ることができます。

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