水頭

水頭（Hydraulic Head）とは

水頭とは、水が持つエネルギーを、そのエネルギーに見合う水柱の高さで表現したものです。これは、水の単位重量あたりが持つエネルギー量を示すとも解釈できます。水頭は、水の流れやエネルギー状態を分析する上で非常に重要な概念であり、土木工学や水理学などの分野で広く利用されています。

水頭の種類

流体の持つエネルギーには、主に以下の3つの要素があります。これらのエネルギーは、それぞれ水柱の高さに換算して表すことができます。

1. 圧力水頭（Pressure Head）:
- 水が持つ圧力によって生じる水頭です。
- 数式では \( \frac{p}{\rho g} \) で表されます。
- ここで、\( p \) は水圧、\( \rho \) は水の密度、\( g \) は重力加速度を示します。

2. 速度水頭（Velocity Head）:
- 水の流れの速さ（流速）によって生じる水頭です。
- 数式では \( \frac{v^2}{2g} \) で表されます。
- ここで、\( v \) は流速を示します。

3. 位置水頭（Elevation Head）:
- 基準面からの水の高さによって生じる水頭です。
- 数式では \( h \) で表され、\( h \) は水深を示します。

これらの水頭の他にも、管の摩擦や曲がり、出入口などで失われるエネルギーを表す損失水頭が存在します。損失水頭は速度水頭に比例し、配管設計などにおいて考慮すべき重要な要素となります。

全水頭とピエゾ水頭

• - 全水頭（Total Head）:

- 圧力水頭、速度水頭、位置水頭、そして損失水頭のすべての合計です。これは、水が持つ全エネルギーを表します。

• - ピエゾ水頭（Piezometric Head）:

- 圧力水頭と位置水頭の合計です。静水圧下での水のエネルギー状態を示す指標として用いられます。

ベルヌーイの定理

理想的な流体の流れにおいては、全水頭は一定であるという法則が存在します。これをベルヌーイの定理と呼びます。

• - ベルヌーイの定理の数式表現:

\( \frac{p}{\rho g} + \frac{v^2}{2g} + h = \mathrm{constant} \)
- この式は、一様重力下での非粘性・非圧縮流体の定常な流れにおいて、圧力水頭、速度水頭、位置水頭の合計が常に一定であることを示しています。

水頭の応用

水頭の概念は、土木工学におけるダムや水路の設計、水理学における水流の解析、さらには水道管網の設計など、幅広い分野で応用されています。特に、ベルヌーイの定理は、水流のエネルギー保存則を理解する上で不可欠であり、多くの流体解析の基礎となっています。

関連事項

• - 土木工学
• - 水理学
• - 水柱メートル
• - ベルヌーイの定理
• - 水槌ポンプ

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