氷河急行

氷河急行（氷河特急、またはグレッシャー・エクスプレス）

氷河急行は、スイスの美しい山岳リゾート、ツェルマットとサン・モリッツを結ぶ長距離列車です。この特別列車は、スイスのマッターホルン・ゴッタルド鉄道とレーティッシュ鉄道の二社により運行され、約291キロメートルを8時間かけて旅します。多くの山々や美しい谷を越え、乗客は一瞬のうちに幻想的なスイスの自然を堪能できます。特に、アンデルマットからオーバーアルプ峠のラックレール区間は、魅力的な九十九折の風景を楽しむことができ、「スイス・グランドキャニオン」とも称される美しいビューが広がります。

特徴と運行スタイル

氷河急行は、旅行者にとって特別な乗車体験を提供することを目的としています。列車の速さは平均時速約34キロメートルで、急行の名に反して「世界一遅い急行列車」とも知られていますが、この遅さが逆に乗客にとって風景を楽しむ時間を生み出しています。トンネルや橋を数多く通過しながら、最高地点のオーバーアルプ峠（標高2033メートル）を目指します。

フルカ峠を通る従来のルートでは、ローヌ氷河を望むことができましたが、現在はフルカベーストンネルの利用により、季節ごとの運行限定で旧ルートの復活が行われています。氷河急行は、乗り換えなしで快適に目的地まで移動できる利点がある一方、他の列車でのルートも可能ですが、手間がかかります。

車両とサービス

2006年から全ての車両は「プレミアム」仕様に更新されました。これにより、空調完備の大きな窓から美しい景観を楽しみながら、快適な座席での旅が可能になりました。また、各座席にはテーブルがあり、解説を聞くためのヘッドフォンが用意されています。これは日本語を含めた6か国語の案内が聴ける特長があります。食堂車は廃止されましたが、予約した乗客には厨房車からコース料理が運ばれるスタイルが採用されています。

料金プランは一等、二等、エクセレンスクラスの三つあり、全席予約制で予約料が別途必要です。"エクセレンスクラス"は特に豪華なサービスを提供し、コンシェルジュがつくため、特別な体験が待っています。車内販売では、軽食や飲み物が購入でき、グレッシャー・エクスプレスにちなんだ商品も取り扱っています。

利用と安全

季節によって運行本数は変動し、夏季には1日4往復運行され、冬季には1往復になりますが、メンテナンス期間もあります。そのため、事前に運行スケジュールを確認することが重要です。

過去には事故も発生しており、特に2010年に起きた脱線事故では日本人旅行者の命が失われる惨事がありました。この事故以後、運行の安全性が重点的に見直されています。

日本との関わり

氷河急行の利用者の中には、多くの日本人が含まれています。年間利用者の約30%を占めており、日本人向けのサービスや商品も展開されています。氷河急行はスイスの景観を楽しむだけでなく、異文化交流の場にもなっています。

結論

氷河急行はただの列車移動ではなく、スイスの美しい自然を楽しむ貴重な旅の体験を提供します。特別なサービスや独特の旅のスタイルは、多くの旅行者にとって魅力的な選択肢となっています。

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