永井和之

永井 和之

永井 和之（ながい かずゆき）は、日本の著名な法学者であり、中央大学名誉教授。

1945年9月24日、東京都に生まれる。商法及び会社法を専門分野とし、長年にわたりこの分野の研究と教育に貢献してきた。

経歴

東京都立玉川高等学校を卒業後、中央大学法学部一部法律学科に進学する。大学在学中に難関とされる司法試験に合格。1968年3月に中央大学法学部一部法律学科を卒業した。

卒業翌年の1969年4月、母校である中央大学法学部の助手として採用され、研究者としての第一歩を踏み出す。その後、1974年4月には助教授に昇任し、教育者としても経験を積んだ。

研究活動の一環として、1979年1月から1981年3月にかけて、アメリカ合衆国カリフォルニア州にあるスタンフォード大学スタンフォード・ロー・スクールに客員研究員として滞在。国際的な視点から自身の専門分野における知見を深めた。

帰国後の1981年4月には、中央大学法学部教授に就任。研究・教育の中心的な担い手となる。教授として活躍する傍ら、大学運営にも積極的に参画。1993年11月には通信教育部長、1999年11月からは法学部長を務め、学部および大学全体の教学方針決定に関与した。

2002年5月には学校法人中央大学の理事に就任し、大学経営における責任ある立場に就く。2004年4月には、新たに開設された中央大学法科大学院の教授も兼任。同年5月には東京第一弁護士会に弁護士登録を行い、理論と実務の両面に精通する法曹としての活動も開始した。

大学執行部としての活動

2005年11月、中央大学の学長に選出され就任。これは、日本の大学史においても注目される出来事であり、戦後生まれの人物としては中央大学初の学長就任であった。さらに、同年12月には総長も兼務し、名実ともに大学の最高責任者としてリーダーシップを発揮した。2008年の学長選挙で再選され、2011年11月に任期を終えるまで、合計6年間にわたり学長・総長として、大学の改革や発展のために尽力した。

2016年3月、長年にわたる中央大学での教育、研究、および大学運営への貢献を終え、定年退職を迎える。

研究と貢献

専門分野である商法・会社法においては、『基本論点商法』、『会社法』、『ブリッジブック商法』など、多数の重要な著作を発表しており、これらの書籍は多くの法学研究者や学生によって参照されている。また、『法学入門』のような基礎的な分野の著作もあり、幅広い層への法学教育にも貢献している。

中央大学法科大学院の設立に際しては、その教育理念や制度設計に関しても提言を行っている。特に、既習者コースと未習者コースの設置が求められる中で、未習者を対象とする学士入学試験の活用を提案していた。これは、従来の学士入学試験が学者養成という性格を持ち、極めて限られた入学枠であったことに対し、専門外から法曹を目指す人々にも広く門戸を開くという法科大学院の趣旨を踏まえ、100人程度の未習コースを設置・運営するという大学の方針決定へと繋がった。

法曹界や学界には多くの影響を与えており、著名な弟子には梶浦桂司氏や野村修也氏らがいる。

これらの功績に対し、2021年には瑞宝重光章を受章している。

もう一度検索