永大産業サッカー部

永大産業サッカー部の歴史と栄光

永大産業サッカー部は、1969年に山口県で創設されたサッカークラブであり、短いながらも輝かしい歴史を持っていました。創業者・深尾茂会長の指導の下、子会社の永大木材工業が運営するサッカー部から発展し、わずか2年で日本サッカーリーグ（JSL）1部に昇格を果たしました。しかし、業績悪化により1977年に廃部となり、その短い活動期間の中で数々の名勝負と成果を残しました。

創設時期と初期の栄光

永大産業サッカー部の前身は「永大木材工業サッカー部」で、1969年に誕生しました。河口洋が監督を務め、このチームはほどなくして成功を収めるようになります。1971年、山口県の地域大会で2冠を達成し、その後の県リーグでも全勝優勝を遂げました。この時、永大は山口県サッカー協会に飛び級昇格を打診し、見事に承認されましたが、これは県内のチームとの戦いに勝利した成果でした。

1972年には「永大産業サッカー部」として新たなスタートを切ります。この年、監督に大久保賢を迎え、名古屋相互銀行から移籍した選手たちも加わりました。その結果、クラブの実力がますます強化され、全国大会での優勝も果たしました。これにより、県1部からJSL2部への昇格を実現し、さらに翌年にはJSL1部へと昇格を果たしたのです。

JSLでの挑戦と成長

最初のJSL1部シーズンは困難であり、チームは最下位に沈む結果となりますが、1974年以降に加入したブラジル人トリオ、ジャイロ・マトス、ジャイール・ノバイス、アントニオ・ペレの影響でチームは再び活気を取り戻します。同年の天皇杯では決勝に進出し、ヤンマーに惜敗するも準優勝を果たしました。この結果はチームの士気を高め、大いにサポーターを刺激したことでしょう。

1975年、セルジオ越後がコーチに就任することで、チームはさらなる進化を遂げます。越後はブラジルと日本の選手たちをうまく融合させ、戦術面での洗練にも成功。そのシーズンには5位に躍進し、若手選手たちの育成にも尽力しました。

短命の終焉

しかし、1976年にはチーム名を「永大サッカー部」に改称し、監督も大久保から塩澤敏彦へと交代します。その翌年の1977年、ついに永大産業は業績悪化のためチームを廃部する苦渋の決定に至ります。この短期間で多くの成功を収めた選手たちは、それぞれ別のチームでキャリアを続けることになりました。若手選手たちの中には、後に指導者としての道を歩む者もおり、その影響が現在のサッカー界にまで続いています。

文化的な影響

永大産業サッカー部は、そのわずか5年間で日本のサッカー界に多大な影響を与えました。文化的な側面では、若者たちへのサッカー指導や地域交流活動を積極的に行い、地域に密着した活動が評価される先駆け的存在でもありました。特に、選手指導にあたった越後は自らの経験を生かし、少年サッカーの育成に貢献しました。

短い歴史ながらも多くの挑戦と成功、文化的な影響をもたらした永大産業サッカー部の物語は、今もサッカーの歴史に刻まれているのです。

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