永島四郎 (実業家)

永島四郎の生涯と貢献

永島四郎（ながしま しろう、生年不詳 - 1978年）は、日本の実業家兼調理師として、特に横浜市の飲食業の発展に著しい業績を残しました。彼は千葉県久留里にある呉服問屋の四男として生まれ、大正時代に家族とともに横浜の伊勢佐木町へ移住し、酒屋を開業しました。故郷の上総の酒を扱い、地域に根ざした商売を行っていましたが、1923年の関東大震災で店は大きな被害を受けました。

その後、幾度かの移転を経て、横浜市南区の睦町で新たに酒屋を再建しました。1927年には業態を飲食店に変え、酒場「忠勇」として営業を再開します。この頃、安価な酒を仕入れることができる小売免許を持つ酒屋が角打ちサービスを堅持する便利さから、飲食店にとっては大きな脅威となっていく動きが見られました。

永島は、飲食店間の結束を高めるために1938年に「市民酒場組合」を結成しました。この組合は南区から発祥し、次第に中区、西区、保土ケ谷区、神奈川区、鶴見区にも支部を設立。最終的には、「横浜市民酒場組合連合会」として組織を発展させました。この連合会の活動により、飲食店の営業を守るために保健所や市の衛生局、さらには厚生省へも陳情を行い、酒場の存在意義を訴えました。

また、戦争の影響が及んだ1941年には、ビールや日本酒の流通が制限され、さまざまな困難が生じました。大衆酒場では提供できる酒の量が限られ、利益を上げることが困難となりました。そこで、県が進めた「市民酒場」の制度は、永島が立ち上げた組合が基盤となっており、3店舗を1組とする形での統合が図られました。

戦後、復興の動きが始まり、1947年には「神奈川県ふぐ協会」の設立準備を始めます。この協会は、794年に創設され、その後、神奈川県においてふぐ取扱業の基準を設ける条例も施行されました。1951年には「神奈川県ふぐ調理師免許」の第1回試験も行われ、永島はふぐ料理の調理技術を体系化した功績が評価され、1968年に勲六等単光旭日章を受章しました。

1978年、永島は82歳でこの世を去りました。彼が創業した「忠勇」を含む30軒の市民酒場は、今もなお営業を続け、地域の飲食文化の象徴として人々に親しまれています。彼の行動と努力は、単なる一飲食業界の枠を超え、地域社会における食文化の発展に寄与したと言えるでしょう。

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