永島旭

永島 旭（ながしま あきら）は、1939年（昭和14年）11月30日に東京都中野区で生まれた日本の銀行家です。特に、日本銀行でのキャリアと、中国銀行の頭取を務めたことで知られています。

東京大学法学部を卒業後、1962年（昭和37年）に日本銀行に入行しました。日銀では主に国際金融に関連する部署を歩み、外国局総務課長、国際局長などを歴任するなど、国際畑でその専門性を深めました。また、1983年（昭和58年）から2年間は日銀岡山支店長を務め、地域経済の現場にも携わっています。キャリアを順調に積み上げ、1993年（平成5年）には、日銀の筆頭理事にまで昇り詰めるに至りました。

しかし、その後、キャリアにおいて予期せぬ展開を迎えます。筆頭理事として将来を嘱望され、次期副総裁への昇格が内定していたものの、この内定が取り消されるという事態に直面しました。その背景には、同時期に発覚した「日銀接待汚職事件」の影響が指摘されたほか、より直接的には、夫人が引き起こした個人的な金銭トラブルがスキャンダルとして報じられたことが影響したとされています。夫人は、都内の真珠販売店との間で真珠のネックレスに関する金銭的な争いを抱え、これが民事訴訟に発展しただけでなく、最終的には詐欺および恐喝の疑いで書類送検されるという出来事となりました。この件が週刊誌などで大きく取り上げられたことで、組織の体質としてスキャンダルを嫌う日本銀行においては重大な問題と見なされ、副総裁昇格の取り消しという結果に繋がったと考えられています。この一件の後、永島氏は日銀を退職し、東京海上火災保険（現在の東京海上日動火災保険）の顧問に転じました。

一方、岡山県を主要な地盤とする中国銀行では、当時、経営トップの交代期を迎えていました。長年、会長兼頭取として同行を率いた稲葉侃爾氏が会長専任となり、生え抜きである山本吉章氏が頭取に昇格したばかりでしたが、2000年（平成12年）に入って山本氏が病に倒れ、稲葉氏が再び頭取を兼務するという状況になっていました。稲葉氏は、早期に新たな頭取候補を見つけたいと考えており、その中で、かつて日銀岡山支店長として岡山での勤務経験があり、金融業務に深く精通している永島氏に注目しました。稲葉氏は、外部からの招聘ではあるものの、いわゆる「天下り」ではなく、あくまで人物本位の選考であるとして永島氏に白羽の矢を立てたとされます。そして、2000年（平成12年）6月、永島氏は中国銀行の頭取に就任しました。これは、同行にとって54年ぶりとなる、外部からのトップ就任であり、地域経済界からも大きな関心を集めました。

中国銀行の頭取として経営の指揮を執った期間、永島氏は証券子会社の設立や、銀行の経営体質強化に向けた改革などに取り組みました。しかし、同行にとって主要な取引先であった株式会社林原（現・ナガセヴィータ）が経営危機に陥り、2011年（平成23年）に会社更生法の適用を申請するという事態が発生します。この林原の経営破綻は、中国銀行の業績に深刻な打撃を与え、結果として、永島氏は2011年（平成23年）をもって中国銀行頭取を退任することとなりました。

銀行家としての堅実な経歴を持つ一方で、意外な一面も持っていました。例えば、毎日放送などの関西地方のラジオ局で放送された中国銀行のCMには、永島氏自らが実際に出演し、話題となったこともあります。

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