永瑆

愛新覚羅 永瑆の生涯と業績

愛新覚羅 永瑆（あいしんかくら えいせい）は、清朝時代の皇子であり、乾隆帝の第十一皇子である。彼は1752年3月22日に生まれ、1823年5月10日に逝去した。母は淑嘉皇貴妃金佳氏で、彼自身も書道家として名を馳せた。ここでは彼の生涯、性格、業績、晩年について詳しく見ていく。

生涯の概略

永瑆は、乾隆帝の治世において重要な役割を果たした。彼は乾隆54年（1789年）に「成親王」に封じられ、乾隆60年（1795年）には独立した邸宅を持った。彼の初期の邸宅は龍華寺近くに位置しており、乾隆帝の治世を享受しながらも、軍機大臣としても活躍した。嘉慶帝時代には、天理教徒の反乱を鎮圧するなど、政治・軍事の面でも多くの貢献をした。

性格と人物評

永瑆に関しては、極端に倹約であることが知られ、時には冷酷さを示すこともあったと言われている。彼は妻の富察氏に対しても厳格で、彼女の持参金を没収し、貧しい生活を強いることがあったというエピソードも残されている。乾隆帝はそのケチさを叱責したが、彼は性格を改めなかったとされており、同時代の記録では「陰険で権謀術数を好む」との批判も見られる。

書道と芸術の業績

一方で、永瑆は書道と芸術の分野でも高く評価されており、清代の名書家の一人として名を残した。翁方綱や劉墉、鉄保とともに「乾隆四大家」と称され、その作品は今でも多くの人々に親しまれている。彼は書の技法「撥鐙法」を考案し、筆を扱う技術をより洗練させた。また、康熙帝時代の内監の言葉を研究し、董其昌に関する逸話を広めるなど、書道理論の発展にも寄与した。嘉慶帝からも「裕陵聖徳神功碑」の筆を依頼されたほど、彼の書は評価されていた。

晩年と最期

永瑆の晩年は、高齢に伴い視力が衰えた。小さな字を書くことが難しくなり、詩文を代筆させた際に自分の名前を誤記するという失敗もあった。最終的に彼は1823年に72歳で亡くなり、成哲親王の諡号を受けた。生前には《聴雨屋集》、《詒晋斎集》、《倉龍集》といった著作も残している。

私生活と家庭

永瑆の私生活において、彼の福晋（妻たち）にかかる出費が注目されている。彼の家庭は乾隆60年時点で非常に高額な費用を必要としており、一方で永瑆の異母兄である嘉慶帝の家族の出費は控えめであった。また、永瑆の妻には嫡福晋や側福晋が複数存在し、彼女たちとの間に多くの子供を設けていた。

結論

愛新覚羅 永瑆は、政治家としての手腕と書道家としての才能を併せ持ち、清代の文化に大きな影響を与えた人物である。その生涯は物議を醸す部分もあったが、書道や政治においては多くの成果を上げ、清朝の歴史に名を残すこととなった。

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