嘉慶帝

嘉慶帝：清朝衰退の萌芽

嘉慶帝（かけいてい）は、清朝の第7代皇帝であり、乾隆帝の十五男として生まれました。諱は当初、永琰（えいえん）でしたが、即位後に顒琰（ぎょうえん）と改めました。廟号は仁宗（じんそう）で、在位時の元号から嘉慶帝と称されます。

飾り物の皇帝時代

乾隆60年（1795年）、85歳になった乾隆帝から譲位を受けましたが、乾隆帝は太上皇として実権を握り続けたため、嘉慶帝は名ばかりの皇帝として過ごしました。

ヘシェン粛清と綱紀粛正の試み

乾隆帝が崩御すると、嘉慶帝はまず、乾隆帝が重用していた奸臣ヘシェン（和珅）を誅殺しました。ヘシェンは莫大な財産を蓄えており、その没収財産は国家歳入の10～15年分にも相当すると言われています。この粛清は、乾隆帝時代に緩んだ綱紀を立て直すためのものでしたが、期待されたほどの成果は得られませんでした。

国内の混乱

嘉慶帝の時代、中国の人口は100年前の2億人から4億人を超えましたが、耕地面積の増加はわずかであり、一人当たりの生産量は低下しました。これにより、民衆は困窮し、匪賊となる者も現れました。また、白蓮教徒の反乱や天理教徒の乱が勃発し、特に天理教徒の乱では、紫禁城にまで侵入される事態となりました。

軍隊の堕落と義勇軍の台頭

反乱鎮圧のため、朝廷は満洲八旗ではなく、郷勇と呼ばれる義勇兵に頼らざるを得なくなりました。この結果、反乱は何とか鎮圧できましたが、長きにわたる平和によって堕落した満洲人の軍隊の無力さが露呈しました。また、反乱を鎮圧した郷勇は、後に軍閥として台頭し、満洲人の地位を揺るがすことになります。

海賊の横行とベトナムとの関係

国内では海賊が横行し、清の船を襲撃していました。これは艇盗の乱と呼ばれ、背後には西山党の乱で力を得た阮氏がいました。清朝は、阮氏を討伐した阮福映を越南国王に封じましたが、阮朝は当初「南越」という国号を求めており、嘉慶帝はこれに警戒を示し、「越南」という国号を与えました。

迫りくる西欧列強

嘉慶帝の時代、アヘンがイギリスから大量に密輸入され、清の鎖国政策は破られつつありました。嘉慶帝はキリスト教徒を弾圧するなど対策を講じましたが、アヘン問題は後のアヘン戦争に繋がります。また、軍閥の台頭は清朝を滅亡へと導き、この時代は清朝滅亡の萌芽があったと言えます。

突然の死

嘉慶帝は嘉慶25年（1820年）、避暑山荘で急死しました。死因は記録されていませんが、肥満体であったため、心血管疾患または脳卒中であったと考えられています。

後宮

嘉慶帝には、多くの后妃がいました。正室には、孝淑睿皇后（ヒタラ氏）と孝和睿皇后（ニオフル氏）がおり、側室には、和裕皇貴妃（リュギャ氏）や恭順皇貴妃（ニオフル氏）などがいました。彼らの間には、多くの子女が生まれました。

登場作品

嘉慶帝は、いくつかのテレビドラマにも登場しています。

乾隆王朝（2003年、中国、演：賈一平）
紫禁城 華の嵐（2004年、中国、演：于洋）

まとめ

嘉慶帝の時代は、清朝の衰退が始まった時代であり、国内の混乱、軍隊の堕落、そして西欧列強の接近など、多くの問題が噴出した時代でした。これらの問題は、清朝を滅亡へと導く大きな要因となりました。

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